lazyの入口ドアをノックして入ってくる学生がいた。ついつい就活の癖が出たのだという。
大手の会社の入社式の写真である。会社名は書かれていない。社員の数から推測するに一部上場企業であるはずだ。どの社員も同じ表情に見える。着ているスーツもユニフォームと見まがうほど似ている。大手紳士服量販店でリクルートスーツが売れだしたのは90年代の事である。日本全体の経済成長が止まり、企業は効率化を推進し大学に即戦力の学生を要求する。補助金は金を産む研究に配分され教育のレベルがどんどん下がっていく。大手企業は自社に有利となる政策を推進する様政治家に働きかけるべく企業献金を行う。法人税は段階的に下がりそれを補填する意味で消費税が導入される。大学は独立行政法人化され自分で稼いでね・・・と自助を求められる。今の学生はそういう日本しか見ていない。そうであるならば敢て苦難の道を選ぶ巨人の星的生活を選ぶものは少なくなる。ジャズ用語で言うなら負の逆循環コードである。60年代大学は学園紛争でガバナンスが効かなくなっていた。政府がとった政策は学生が暇なのは良くない・・困窮させようと学費を上げた。国立大学の学費は年1万であった。僕の時代でも4万だった気がする。一度だけパチンコにつっこみすってんてんになったがバイトでカバーできる範囲であった。現在は54万、入学金を入れると初年度80万からの金がかかる。当然親の意見が入る。寄らば大樹の影と言う事になる。60年代大学は荒れていたが経済成長率は10%あり企業の懐も深かった。ヘルメットを脱ぎ髪を七三に分けて良い子を演じても其れくらい元気な方が良いと言って採用してくれた。社畜になる自分の姿は想像できたがここに写っている新入社員よりははるかに明るい表情であった。