珍しいお客さんが続くと我が身に何か起きるのではとついつい思ってしまう歳になってしまった。だがお客さんから虫の知らせで来てみた・・・という話は聞いていない。まだ大丈夫だ。3人目はM君。GROOVY時代からのお客さんで常連最年少であった。当時バランタインを飲んでいたがいつもボトルに2本の線を引いて飲み過ぎないようにしていた。裏を返せば3回でボトルを空けると言う事である。時々東京にいるお兄さんと飲みに来ていたがその時は二人でボトル3本空けることもあった。工学博士号を持っていたがそれを活かす研究職が見つからずソフトに荒れていた時期が有った。結局会社勤めに落ち着いたが酒で体を壊し会社を辞めたと風の便りで聞いた。それでも時々想い出したように来てくれる。飲んで大丈夫かと聞くのであるが・・ビール1杯くらいならと言うので振舞っている。
4人目はK君。多分Groovyでは2番目に若い常連であったはずだ。教員であったが僻地教育を目指し十勝地方で勤務している。時々奥さんのガス抜きの為札幌でのショッピングに連れて来ていたが子供が出来たと言う事で暫く足が遠ざかっていた。聞くと10年振りだという。お子さん二人も北大に入り一段落したと言う事で寄ってくれた。職業柄昔から声が馬鹿でかい。田舎では出来ないプログレロックの話で一盛り上がりした。
週末は3年前のバイトであるキナコがjazz研OBの面々と来てくれた。同期の結婚式が札幌であるとの事だ。キナコの結婚式にも招待してもらった。蕎麦の割合ではないが9対1で葬式が多い。晴れがましい席に列席することは滅多にないが良い式であったと記憶している。キナコ自身は首都圏で産婦人科になるべく研修を積んでいる。そちらの方で僕がお世話になることはないと思うが忙しい合間を縫ってライブにも顔を出してくれているようだ。米木や三嶋から「キナコちゃん来てくれたよ」と連絡が入る。そういう話を聞くと嬉しくなる。僕の役目の一つは良質な聴き手を育てることと思っているからだ。
ポール・オースター原作、ハーベイ・カイテル主演の映画で「スモーク」というものが有る。毎日、同じ場所、同じ時間に10年間写真を取り続ける煙草屋の主人公が経験する不思議な物語である。ふとこの映画を想い出した。僕がカウンター越しに見ていたこともこういう事ではなかったのかと・・・