四方山話

その1
時々母親のご機嫌伺いに実家に帰っている。苺のショートケーキが出てきた。「今日は子供の日だから」と言うことらしい。勿論全部食べた。「もう一個、食べるかい」と聞かれたがもういいと断った。「昔はもっと食べたのに」
因みに僕は62歳、せんべいの方が好きになる歳だ。
その2
ラジオを聴いていた。東京の豊島園にツバメが巣を作り出しているらしい。同じ巣に戻ってくるツバメがどれくらいいるか興味を持って足環をつけて調べた人がいる。同じ地域に戻ってくるのが2割ほど同じ巣につがいで戻ってくるのが2%だ。人間はよく戻ってきたと思うらしいがツバメにとっては「あんた誰」ということだ。巣は早い者勝ちでそれから伴侶を見つける。そこで司会の人がうまい事を言った
「鳥、帰る。ねぐらも嫁も取り替える」

記憶の捏造

小山彰太5daysの初日。出し物は田中朋子trio。お客さんもなかなかの盛況で演奏も楽しく、なによりjazz幼稚園東京支部長のS名が帰札すると言う事でミニ同窓会の様相も呈していた。当然酒もすすむ。営業中にちょっとした買い物にコンビニに行った。おりしも小雨が降りだし行灯の隣に停めてある自転車のサドルが濡れていた。「しまった、自転車なんか乗ってくるんじゃなかった」とその時思った。とにかくそう思ってしまった。ああ今日は楽しかった。そろそろ帰ろうと思い鍵を探したが自転車の鍵が見当たらない。ようし、落ち着け。少しは酔っているが考えてみよう。いつも入れる鍵箱をもう一度確かめてみよう。ない。次はポケットだ。パンツだけでなくパーカーのポケットも探せ。ない。どこかに落ちていないかよく探せ。ない。お前は酔ってなんかいない。はじめから考えよう!そうだ、鍵のかけ忘れだ。今までも何回かあった。そうに違いない。ドアを開けて行灯の横を見ると自転車がなくなっている。やられた。鍵をつけたままなのでどこかの酔っ払いが乗っていってしまったのだ。
もう二回もやられている。楽しかった一日が台無しワシントンになってしまった。僕はPKを外したストライカーのようにとぼとぼ家に帰った。雨がひときわ冷たく感じた。
翌朝、目覚めが二日酔いをつれて訪れた。しょうがない。自転車を買いにいかなくては。近くの中古屋でお手ごろなやつを買った。それを自宅の自転車置き場にもっていくと見慣れた自転車があった。?マークが毛根の数だけ頭に浮かんだ.何で盗まれた自転車がここにあるんだ?????????????。
激しい二日酔いの余震が訪れた。
犯人は身近にいる。推理小説の鉄則だ。
そして記憶は常に作り変えられる

憲法記念日のたまたま

家に何百本ものvhsテープがある。ところがデッキが壊れてしまい数年見た事がなかった。こういうところは呑み屋の特権なのだが、捨てると言う人がいた。DVDレコーダー付きの最新機種だ。(勿論当時のです)8割は古い映画なのだが、ラベルが張っていないテープが大量に出てきた。人に見せられないテープは確か1本だけのはずだがこの際整理しておこうと思い、ランダムにかけた。こういうときありがちな話だが全部見るまで判断がつかない。引越しのとき本を整理しようと思い読み始め奥さんに怒鳴られた経験はありませんか。僕はとりあえずとっておく派なので、家が不必要なもので溢れかえっている。lazyの前は寿司屋さんだった。居ぬきのまま引き継いだので捨てられなかった寿司桶やらざるやら天狗のお面やらが押入れに入っている。
テープのはなしに戻す。3本目にNHKで放送した井上ひさしの追悼番組のテープが出たきた。その中で憲法を変える動きがあることに触れて戦後もう人を殺さない世の中になるのだ、軍隊を持たない選択肢があるのだと晴れがましく思ったと言う。そういう実感が崩れつつある事を危惧していた。
そのテープを見終わったときが憲法記念日であった。

むずかしいことをやさしく
やさしい事を深く
深い事を愉快に
愉快な事をまじめに
井上ひさしの座右の銘だ
悲しみ、憎しみは備わっているが笑いはつくっていかなければ無い感情だ。
ジャック・レモンが喜劇は難しいといい、桂文楽は噺家は人情話はやめたほうがいいといったのは共通した認識のように思える。
ナチス政権下の題材をロベルト・ベニーニは映画「ライフ イズ ビューチフル」で戦争を遊びにしてわが子に説明していた。カレル・チャペックもコラムでドイツに蹂躙されていくチェコを笑いを以て乗り越えようとしていた。

そういえばホレス・シルバーのブルースは悲しくないなー

時評

時評
熊本地震から二十日ほどたった。今も大きな余震が続く中被災された方には心よりお悔やみを言いたいと思う。ただ地震一色の報道がなされる中、国の命運を決めるような事がどんどん既成事実として作られていく。オスプレイを使った輸送活動など完全に政治ショーに利用されている。激甚災害に指定されたタイミングも北海道5区の衆議院補欠選挙の前日で遅きに失しているにもかかわらず災害対策を遂行する与党は批判しづらい。結果も与党が辛くも逃げ切った。次回の国政選挙に課題を残した。アメリカに自国民の幸せまで差し出して自分の歴史認識やら存在感を主張するお坊ちゃま総理には絶対やめてもらわないといけない。僕は自民党を支持したことはないがそれでも昔は骨のある政治家がいてだめなものはだめと言う風土は残っていたと思う。TPPなど市場拡大と効率化をうたう政策は要はあなたもこちら側に来れば金持ちになれる可能性はありますよと恫喝しているようなものだ。国は断じて株式会社になってはいけない。潰れてはいけないのだ。ケイマン諸島や、バージン諸島に会社を移して国民から絞り上げたものを自分たちのために使うことは阻止しなくてはいけない。
音楽とて無関係ではない。何時の間にか著作権が延長され、在庫を抱えるCDショップは大手と言えども縮小の一途だ。札幌をjazzの町にすると言ってはじまったcity jazzも演奏者の低年齢化と経済効果だけが取りざたされるイベントになってしまった。音楽の質が問われる構造にはなっていないと思う。
呑み屋で政治と宗教の話はご法度だと言われるが呑み屋の親父も言いたいことはあるので真面目に書いてみました。明日からは面白い事書きます。

鮭の遡上

週中のライブのない小雨模様の木曜日、巨人の優勝が決まった後の中日とヤクルトの消化試合のように盛り上がらない。・・・・・・と覚悟していた。見知らぬ会社員がドアを開けた。(目は悪いし、逆光だと本当にを分からない)リクルートスーツに身を包んだバイトのF本だった。あまりに早い季節の遡上で一瞬ぴんと来なかったし、思わず笑ってしまった。何日かこっちにいるんだ。会社の歓迎会のあと関東圏に行く前に立ち寄ってくれた。国家元首をもてなすのと同様に接客をさせていただいた。何せお客様だ。お通しと未使用の割り箸とちゃんと冷えたビールをだした。まだ最後に会ってから2週間ぐらいしか経っていないのにカウンター越しに見るとずいぶん違った印象を受ける。明日早起きしなければならないといって10時過ぎには帰っていった。勿論引き止めたりはしない。さりげなく給料日を聞いた。一流社会人であれば聞いた意味は分かるはずだ。今度来れるのはゴールデンウィークということだ。シングルモルトの21年物を仕入れて待っていようと思う。
金1600円確かにいただいた。嬉しい1600円であった。
領収書は・・・・・と聞いた。「おこられます」と言った。
そういう時は「日付、金額なしで2枚下さい」と言った方が面白い。
F本まだまだ。

縦割り行政

店を閉めて帰る午前一時頃、石狩街道をバリバリ、バリバリと世の中で一二を争う醜悪な音を響かせて数台のバイクが北上してくる。今年はじめてみる暴走族だ。パトカーもサイレン鳴らして追尾してくる。もう少しで北24条通りにさしかかる。僕の目の前には組み抗争を警戒する覆面パトーカーが24時間待機している。サイレン鳴らして車を一寸だけ動かせば簡単に逮捕できるのに微動だにしない。
「あなたたちは交通課でしょう。うちらは丸暴だから課が違うのね。だいたい鰯の稚魚みたいなチンピラ捕まえたってポイント低いでしょう。うちらは300キロの黒マグロを狙っているからそちらはそちらで・・・・・どうしてもというならうちの課長に話しとおしてね。あらあ・・・逃げられちゃった」と言うことだと思う。会社員だった頃を思い出す。
上司によく言われた。僕は経理課であったが「人事課に借りを作るなよ」大体同じ事だと思う。
その日はdsとbのduo、なおかつ半分はインプロ。普通のリスナーには厳しい条件かもしれない。何時もいらっしゃる常連の方も病欠でライブが始まった時はお客さんはいなかった。途中から外国の方が来た。ライブであること、料金の事を説明すると、ネットで調べて聴きにきたという。熱心に聴いてくれた。S太さんのドラムを聴いたことがないタイプだと面白がってくれた。もともとロシア生まれで留学でイギリスに行き今はロンドン近郊のバーミンガムに住んでいるということだった。僕はS太さんが入っている山下洋輔Gのヨーロッパライブのレコードを出してS太さんの経歴を説明した。当時洋輔さんがヨーロッパのお客さんの印象を言っていた。「ジャンルの壁を取り払って楽しんでくれる」と。
きてくれたピョートルさんもそういう人なのかも知れない。「今日が最後ではないよ・・・・・まだ来るよ」といってくれた。
感性の縦割り行政はない方が色々楽しめる。

通勤途中に見える風景

通勤途中に見える風景
自宅から店まで高々15分ぐらいだが毎日通ると色々な事に気づく。
①近所にアスレチッククラブがあって二階がトレーニング室になっている。夕方ごろには電気が煌々とついており窓越しにルームランナーで走っている人が見える。僕には鶏舎のブロイラーに見えてしまう。駐車場はいつも満車で車で来てルームランナーで走って車で帰るのって何か変。
②途中にもう1軒アスレチッククラブがある。大体2軒あるのがおかしい。こちらは24時間営業で僕が帰る朝3時、4時に走っている人が見えた。最近は窓にはシートが張られて中は直接は見えないがその時間は飲むか寝るかの方が健康にいいと思うがどうでしょうか。会員の人に聞いたのだがシャーワールームには防犯ベルが有って10時以降は必ず身につけてくださいとのことでした。何か変
③暴力団組事務所もある。例の抗争事件の煽りで2週間ほど前から覆面パトカーが24時間張り付いている。パトカーが一車線占拠しているのでいつも渋滞している。玄関前にはナンバープレートのない車が1台停まっていて
この車を動かそうものなら道交法違反でしょっぴくつもりだなと考えていた。ある人に聞いたのだがあれは警察が対立する組織がダンプで突入するのを防ぐためにおいたものだ。それを聞いてから前を通るのはやめている。そういえば若い衆が外でタバコを吸っているのを最近見かけない。組事務所が禁煙と言うのもご時勢なのかもしれないが何か変。

三月の思い出

I remember aprilやApril in parisなど4月の曲は多いが三月の曲はあまり無い。「サンタがMarchにやってきた」くらいだ。三月は日陰者だ。店の周年記念が三月なので年度変わりが3月と言う感覚になってしまう。会社員だったときも2月決算、3月から新年度だった。ついでに僕も三月生まれなので「ようし・・・。今年も生き延びてやる」と気持ちを新たにする。周年記念ライブや学生の卒業ライブが続くので三月はあっという間に終わる。月
の半分はゴミステーショのカラスを蹴散らして帰る時間になった。今年の目玉企画は大石学trioに鈴木央紹のtsをのせることであった。こういう企画がひらめいてしまうともう我慢ができなくなる。去年の6月から根回しをはじめやっと実現した。サウンドは僕が想像していた方向性であったが質の高さが素人の期待をはるかに超えるものであった。この詳しいライブレポートは牛さんの文章を読んでいただくとして、僕が嬉しかったのは演奏者からも楽しいセッションだったといわれた事であった。学生の卒業ライブの方は人数も多いし親しい学生も多かったので徹底的に付き合うつもりで臨んだ。最後のFちゃんの家飲みにも参戦し一人、二人と落ちていく中で最後の三人まで残り入賞を果たした。その学生たちももう4月からは働いているのだ。今度会うときは立派な社会人だ。たっぷりふんだくってやるから覚悟して来い!特にF本、いも美にも原価があることを実感したか

エイプリルフールの特ダネ

エイプリルフールの特ダネ
山田丈造東京進出という4月1日道新の夕刊の記事をご覧なった方も多いと思う。勿論嘘ではない。前日丈造から記者さんから連絡が行くので適切なコメントをしてほしいとの依頼があった。「初めてた会った時は見るからにチャライ印象でした」とは言わなかった。誕生祝やら、お土産やらもらっているのでその分はちゃんと褒めておいた。取材時間は15分くらいであったと思うが、記事になったのは「寂しくなるが大きな舞台で頑張ったほしい」の一行であった。そういうことも言ったがある部分が削除されると「街頭の声」と一緒で通りいっぺんに成ってしまう。
こちらの方が嘘に近い。
三月初旬山田丈造壮行ライブをやった。その時丈造は「僕は東京に行きますが、lazyと吉田直をよろしくお願いします」と言ってくれた。僕は選挙に出る新人候補のようにお客さんに深々と頭をたれた。いつからそんな立派なセリフが言えるようになったんだ。この野郎と内心おもいながら・・・・・・。
丈造がプロになる決心をしたのはlazyでのあるライブであったと聞いた。そういう場を提供できた事が嬉しかった。

メビウスの鳥

2月2日蜂谷真紀(voice,p)ユーグ・バンサン(cello)小山彰太(ds)
完全インプロの2ステージと言うとしり込みする人が多いかもしれない。だがそのプリミティブなサウンドは音楽がまだ形式を獲得する前の祝祭的な喜びに満ち溢れている。蜂谷のvoiceは世界をそしてあらゆる時代を自由に駆け巡る。その言葉は聴いたことのないどこかの言語に聞こえる。小山も言っていたが山下洋輔trio時代の坂田明が開発したハナモゲラ語とも違う。メロディーに合った音韻が瞬間的に選ばれている。まだ言語が生まれる前の音が意味を持つ瞬間を再現しているのかもしれない。ユーグのエレクトリックチェロはクラシック、ロック、民族音楽のあらゆる要素をもって蜂谷のvoiceを捕まえようとする。その捕り物を小山のドラムが祝福する。
お客さんは少なかったが僕が心づくしの事をすると打ち上げで蜂谷がお返しをしたいということで弾き語りでI’ll
Be seeing youを歌っくれた。お洒落な店で歌姫的なことは全く経験がないということであったが凡百な歌い手が足元にも及ばない歌唱力であった。ユーグもユーモアセンスのあるフランス人でトム・コーラを聴いてから音楽観が変わったと言う。ジミ・ヘンみたいな瞬間があったというと喜んでいた。東京での蜂谷のレギュラーグループは松島、類家の2tp,珠也のドラム、ベースは失念したが面白そうな組み合わせだ。だが呼ぶまでは僕も根性はない。東京まで聴きに言った方が安上がりだ。今回のライブで2回日になるが小山から蜂谷を紹介されたときどういう人と聞いた。
「明るい,気違いかな」が答えで、実際その通りであった。ユーグにはお前の発音はなかなかいいとポメラニアン。
「また会おう」と約束をした。それまでにはジャン・ギャバンの物まねをできるようにするぞ!