3月27日にLBマスターから連絡を頂いた。2日前の3月25日にサックスの井上淑彦さんが亡くなられたというのだ。ここLBで井上さんを最後に聴いてから8年くらい経つだろうか。その日、井上さんは奥さんを同伴されていたので記憶の形が特別だ。その奥さんにLBマスターから筆者が井上さんの大ファンであると紹介して頂いたことを思い出す。
当日のライブはピアノ林正樹とのデュオだった。井上さんは後年こだわり続けた「ウィッチ・タイ・ト」を演奏した。インタバルの時、今はドラムスがあるため滅多に接続されることのないカウンター席で、筆者から「イースト・プランツ」をお願いしたところ、ほほ笑みながら「やるよ」と言ってくれた。頷いた瞬間、井上さんの眼差しは店内の灯りを映していた。終演後、思い余って井上さんとハグした。込み上げて来ることばかりだ。
今年の1月に井上さんのレギュラーバンド“fuse”のピアニスト田中正信がLBに来た折に「井上さんは夏頃の復帰を目指しているようだ」と言っていたので、筆者から「病が癒えたら、ここでまた井上さんを聴きたい」旨の伝言をお願いした。復活する期待の方に思いが流れていたので、今回の訃報はあまりに突然過ぎた。昨夜、自室にて「イースト・プランツ」を聴きながら井上さんのご冥福を祈った。合掌。
(M・Flanagan)