風彩り歌歩く

「風彩り歌歩く」というユニットのライブの日の出来事である。このユニットはtbの板橋夏美とg,voの古舘賢治のデュオである。一部はスタンダードとそれぞれのオリジナル、二部はテーマというか「お題」を戴いてそのテーマに関する曲を演奏するという趣向になっている。この日のテーマは魚であった。ライブが始まる直前に一人の外国人が入ってきた。取り合えずオーダーを取ると演奏が始まった。そのやり取りで日本語はまったく話せないことが分かった。店のシステムを説明する前に演奏が始まったのだが聞く姿勢から音楽は好きなのだと分かる。一安心する。MCの中で古舘にユニット名のニュアンスを説明してあげてほしいと言われた。インターバルの時間にその事と今日の趣向「魚」にまつわる曲を演奏することを説明した。話し好きな客でもともとはロシア系移民でカナダ人であること、職業はシステムエンジニアで数カ月単位で世界中を飛びまわっているらしい事を話してくれた。演奏が終了してから自分は経済学を専攻したが質問があるという。「90年代まで日本はトヨタやソニーなど世界的企業が日本経済を引っ張っていたのに何故今はこんなに停滞しているのか」と聞かれた。痛いところを突かれた。岸田総理になり替わり丁寧に説明した。自由闊達な企業の経済活動に任せておけば良いものをアメリカの言いなりになって半導体輸出規制を行ったり、内需主導の日本経済であるにも関わらず消費税を上げたり間違った金融政策により一部の輸出産業だけが利する政策を取り続けた。その利益は賃上げや投資には回らず内部留保というかたちで蓄積された。金持ちの老人が余裕ぶっこいているうちに若者にどんどん追い抜かれてしまったという感じである。フランク大雑把に言えば大体こんなところであると考える。今は日本語で書いているのでスラスラ書いているが英語で説明すのには疲れた。話しは少子化問題に移った。アフリカ諸国は日本より貧しいのに出生率は高い。日本は何故低いのかと聞く。この問題は経済問題よりもセンシティブである。僕の説明は省くが問題はここからである。自分の親は裕福ではなかったが5人兄弟だった。自分も3人だか4人兄弟である。あなた達は何人の子供がいるのかと演者に聞き始めた。さすがにそこで話しをさえぎった。嫌な客ではなかったがさすがに土足で畳の間まで入ってくるようなものだ。帰りしな「皆、子供を作れ」と言いはなった。僕がI will tryというと「イエイ」と言って握手を求めてきた。