正欲 浅井リュウ著

正欲であって性欲ではない。でも少し性欲の事でもある。まず自分の事を考えてみる。少し頑固な所はあるが趣味、嗜好、性癖、思想どれをとっても万人が理解できる範囲であると考えている。ジャズのライブバーを細々やっているが一応認知されている職業ジャンルである。支持者がウィグル自治区の少数民族ほど少なくてもここでは問題にはならない。社会的に認知されているからである。そして今まで会ってきた人の趣味、嗜好も自分では興味がなくても理解できないことない。釣り、競馬、パチンコ、大丈夫だ・・・犬猫ウサギ、蛇、まだ大丈夫だ・・・「水が流れ出る蛇口」と言われるとノッキングを起こした車のように思考が止まってしまう。この小説には蛇口に特殊な思いを抱く人物が出てくる。世の中には一般の人が想像つかないような嗜好を持つ人がいて人知れずこっそり暮らしている。ジャズのように名前の付いたジャンルはまだいい。「わかるよ」と言われる辛さ。
見渡す限りの情報の海、独立して見える情報はすべてあるゴールに収斂されて見える。
「明日死なない為に」
明日死にたくない人は他者が人生にあらわれた人の言葉である。
この書の中の偽装夫婦は契約する。
「生き延びるため手を組みませんか」
付記
しょぼいフリージャズを聴かされる羽目になったことが何度かある。背中に「フリージャズ」という看板が下がっていた。一応フリージャズも認知されたジャンルである。