山田丈造(tp、fl)武藤勇樹(p)古木佳祐(b)高橋直樹(ds)
ここんとこ考えさせられるワードは”若手”だ。「生のいい」という言われ方もするし、LBのライブを通じて彼等らの熱気を存分に体感しても来た。ジャズ史に話を振ってみると、名演と評価されている作品の相当数が、”若手”時代のものであることが容易に窺える。”若手”とは人の生涯で言えば、序盤から中盤に届くかどうかを指すが、名盤はそこから生み出されている。するとライブで目の前にいるこの世代を呑気に眺めている訳にはいかんなという思いが迫ってくる。彼らが自らをどう考えているかは預かり知らぬが、筆者は彼らが第一次黄金期の状況下にいると見なしているのである。今年もそれに対応するライブに巡り遇っているが、この山田丈造Quartetを聴いていて、その思いが益々強まっている。何と言っても各自が持ち味を引き出し合いながら、全体をバランスさせていく様子には冷めている余地がない。そして抜いた感じのひと下りが絶妙にコントロールされていて成熟を感じさせる。どの世界でも声を大きくしたからといって必ずしも相手に伝わるものではないのだ。ふぅ~う、もはや”若手”以外の適切なワードを見つけなければならないな。Thanks丈造、Thanksメンバー!。演奏曲は、「I Concentrate On You」(C Porter),「Scissors」(Takezo)、「Upper Manhattan Medical Group」(B Strayhorn)、「Glad To Be Unhappy」(R rogers)、「Funky Boy」(Takezo)、「Night Mist Blues」(A Jamal)、「Sail Away」(T Harrell)、「Little Girl Blue」(R Rogers)、「 Wail」(B Powell)、「That Old Feeling」(S Fain)。今回は丈造を始め古木、直樹について触れることも考えたが、多言を排してじっくり噛みしめて置きたい心境にある。何故なら”若手”について「今夜は再考」の日にしておきたいからである。
このライブで初めて聴いたのはピアノの武藤 だった。 演奏中に彼のバック・グラウンドや影響を与えたミュージシャンを想像したが、そのオリジナリティーについては逃さず捉えさせて頂いた。東京のシーンでのピアノはニュージャージー州のような激戦区だと思うが、途切れることなく活躍することを願って止まない。
(M・Flanagan)