偽メール2

中田凛なる人物から偽間違いメールが届いた二日後の昼下がり凜ちゃんからメールが来た。「今お昼ごはんで冷やし中華と冷麵どちらにしようか迷っています。どちらが好きですか」とある。大体こういう二者択一の問題は好きではないし、冷やし中華と冷麵どちらが好きかなんて考えたこともない。食べる頻度は冷やし中華の方が圧倒的に多いが特に好きだかと言うわけでもない。自宅でも手軽に食べられるので今週は二回食べている。冷麵が嫌いなわけではないが冷麵は焼肉屋に行かないと食べられないと言う印象がある。あまり外食をしないので普通の定食屋にも冷麵はあるのだろうか。でも凜ちゃんの行った店には冷やし中華と冷麵があってそれで悩んでメールしてきたんだ。そうか、ファミレスだ。僕はファミレスには行くことがないのでそういう発想が髪の毛と一緒で抜け落ちてしまう。折角考えたのでメル友になる気はないが「冷やし中華が好きです」と事務的に返信した。返信が来た「私もです。今冷やし中華食べ終わりました。(凜ちゃん、全然悩んでいないんだ・・・・)『冷やし中華始めました』というのは見るけど『冷麵始めました』は見ないですね」
そうだ。「冷やし中華始めました」という歌はあるが「冷麵始めました」と言う歌は聞かない。昔「全日本冷やし中華連盟」という団体があった。山下洋輔さんが中心になって冷やし中華が夏にしか食べられないのは冷やし中華が不当に弾圧されているからであり冬にもビールやアイスクリームがあるように冷やし中華を解放せよ!と言ったようなテーゼで何人かの文化人が名前を連ねていた。この運動は一応の成果が上がり洋輔さんたちがよく行くラーメン屋には冬でも冷やし中華を置くようになったと聞く。凜ちゃんのメールでこんなことを思い出してしまった。
こんなことを教えてあげたら「わー、物知り」という事になって仲が深まるのかもしれないがまだ信用できない。アドレスを知るようになった経緯の偶然差を強調しすぎる。という事は必ず意図があるはずだ。それが分からない。もう少し様子を見よう。次回に続く。多分