荒武裕一朗
荒武とは3年ほどの短い付き合いだ。だが長くなりそうな予感がする。初めて会った日のことは鮮明に覚えている。飛行機が遅れに遅れた。当初30分押しくらいでできると思っていた。8;00スタートであるが9:00は回るとのことであった。1時間押しは拙い。一哲、と丈造のduoで1stは凌ぐ。2stを30分押しくらいで始められればと思っていたが10時は過ぎるとのことであった。常連の人は仲間と歓談しながら時間をつぶせるが一人で来ている人は間が持たない。僕は奇策に出た。バイトの昇太に冗談で「漫才でもやるか」と言った。昇太は「やりましょう」と言う。ええ・・!本当にやる気だ。男に二言はない。よし、何かクイズを出せ。全部突っ込みいれてやる。昇太は一問目を出題した。彼は農学部の学徒である。その専門分野の問題を出した。誰もわかるはずがない。突っ込みどころ満載だ。賞品は周年記念S席ご招待だ。そろそろ万策尽きたと言う時に荒武とベースの三嶋が到着した。万雷の拍手で迎えられる。そこから4人でワンステージだけであったが燃えに燃えた。
僕はライブができた安堵感で打ち上げではかなり酔った。だが僕より酔っていた人間がいた。荒武である。夜も明けようかという時間帯に号泣し始めた。「初めての店でワンステしか演奏できないですいません」と言うのである。勿論航空会社の不手際で荒武には100%罪はない。僕は荒武の肩を抱きしめ酔った勢いで時期をあらためて必ず呼ぶからと言ってしまった。その時荒武が横を向いて舌を出していたかどうかは確認していない。男に二言はない。ええい、呼んでしまえ・・・こうして付き合いが始まった。昨年の周年記念にも来てもらった。Lazyの周年周年に呼ばれる事はメジャーリーグのオールスター戦に選ばれることに匹敵すると勝手に思っている。日本人の情感と黒人のリズム感がいい塩梅に結合している荒武の一音、一音が光って聞こえる。誠実な人柄も最高である。
気に入らない所が一つある。当店のソウルドリンク宮崎産「いも美」の事を「こんな酒、宮崎ではだれも飲まないです」と言いやがった。荒武は宮崎県出身である。それならもっとうまい酒を宮崎から送ってみろと言ったらそれ以後「いも美が飲みたいです」「いも美が飲みたいです」とやたら「が」を強調するようになった。
やはり、九州男児は我が強いようで