メビウスの鳥

2月2日蜂谷真紀(voice,p)ユーグ・バンサン(cello)小山彰太(ds)
完全インプロの2ステージと言うとしり込みする人が多いかもしれない。だがそのプリミティブなサウンドは音楽がまだ形式を獲得する前の祝祭的な喜びに満ち溢れている。蜂谷のvoiceは世界をそしてあらゆる時代を自由に駆け巡る。その言葉は聴いたことのないどこかの言語に聞こえる。小山も言っていたが山下洋輔trio時代の坂田明が開発したハナモゲラ語とも違う。メロディーに合った音韻が瞬間的に選ばれている。まだ言語が生まれる前の音が意味を持つ瞬間を再現しているのかもしれない。ユーグのエレクトリックチェロはクラシック、ロック、民族音楽のあらゆる要素をもって蜂谷のvoiceを捕まえようとする。その捕り物を小山のドラムが祝福する。
お客さんは少なかったが僕が心づくしの事をすると打ち上げで蜂谷がお返しをしたいということで弾き語りでI’ll
Be seeing youを歌っくれた。お洒落な店で歌姫的なことは全く経験がないということであったが凡百な歌い手が足元にも及ばない歌唱力であった。ユーグもユーモアセンスのあるフランス人でトム・コーラを聴いてから音楽観が変わったと言う。ジミ・ヘンみたいな瞬間があったというと喜んでいた。東京での蜂谷のレギュラーグループは松島、類家の2tp,珠也のドラム、ベースは失念したが面白そうな組み合わせだ。だが呼ぶまでは僕も根性はない。東京まで聴きに言った方が安上がりだ。今回のライブで2回日になるが小山から蜂谷を紹介されたときどういう人と聞いた。
「明るい,気違いかな」が答えで、実際その通りであった。ユーグにはお前の発音はなかなかいいとポメラニアン。
「また会おう」と約束をした。それまでにはジャン・ギャバンの物まねをできるようにするぞ!