オレンジジュースが374円になっていた。昨年は98円であった商品である。輸出国ブラジルでの不作と言う事もあるが円安の影響が大である。所謂「買い負け」現象が起きている。人口が多くてその国の貨幣価値が相対的に大きい国がオレンジをセリ落としていくのである。僕が子供の頃はバナナは病気になった時と運動会の時しか食べられなかったがミカンは豊富にあった。正月には各家庭、箱で買い指先が黄色くなるほどミカンを食べていた。ブラジル産が高ければ国産を使えばよいと思うかもしれない。だが産業構造が変化し国民の需要を満たすだけのオレンジの生産量は最早ない。オレンジジュースはまだ我慢できる。この現象が小麦で起きた場合はより深刻である。小麦の自給率は12%である。パンが激高になるのは目に見えている。ラーメンはもうその傾向が出ており大衆相手のラーメン屋の倒産が増えている。これはインバウンド相手のラーメン屋が1杯3000円で提供できる環境にあり生めん、しいては小麦がそちらに流れ大衆ラーメン屋には商品が届かないことになる。この物価高の直近の原因はアベノミクス、(経済学者浜矩子氏はこれをアホノミクスと呼ぶ)の失敗であると考える。金利政策で円安を是正することは難しい。つい最近も円は1ドル150円と160円の間で乱高下した。財務省はこの間2回ほど為替介入をしたらしい。その損失8兆円。日本政府と日銀が手の出しようがないのを見透かし海外ヘッジファンドが虎視眈々と狙っている。日本の経済状況はメタンガスが爆発した万博会場と似ている。一生懸命ガス抜きをしているがそれが滞った時、海外フアンドがそこに吸いかけの煙草を投げ入れる。
序章はオレンジから始まったが現在の日本はこのままでは凋落の過程を辿る未完成交響曲である。