プロローグ
新コーナーの増設である。諸般の事情で新譜をほとんど買わなくなってしまった。時々このコーナーを担当してくれる山本さんから借りて浦島太郎にならないようにしてる。音楽の店を経営するものとしては肩身が狭い。時々ハッとするようなアルバムがある。それではいっそのこと常連山本さんに新譜を紹介してもらおうということになった。レコードコレクターの宿命として時々ひどいバッタ物をつかまされることがある。groovy時代山本さんとどちらがひどいアルバムを持っているかでくだらないレコード聴き合ったことがある。ここではそういった類のアルバムは遠慮してもらうことにしているが時々劇薬が含まれているかもしれないことを予め告知しておく。初心者は牛さんのディスクレビューを参照したほうが良いかもしれない。ちなみに山本さんはlazyを作ってくれた方である
master’S comment notice
ガリアーノは多作な人で僕は20枚ぐらいしか持ってないがたぶんその倍以上は出してると思われる。この後にもオーケストラとバッハやモーツァルトを演った23年のディスクがあるらしい。彼が多作なのはその音楽性の広さのためでメインはミゼットなのだろうがニーノ・ロータやミッシェルルグラン、バッハやビバルディなどのバロックさらにソロからビックバンドまでのさまざまスタイルで演れる。ジャズだけでもチャーリーヘイデン、チェットベーカー、ミッシェルポルタル、マルサリスやら寺井尚子までなんでもござれである。しかし皆が知るように最も重要なキーパーソンはピアソラである。ピアソラは生前ガリアーノに自分がタンゴでやった事を君はミゼットでやらねばならないといってたそうだ。ガリアーノはピアソラとデュオで2枚ディスクを出してる、ピアソラの死後も何度もピアソラ作品集を録音している。
このディスクでもピアソラとオリジナルが交互に演奏されて進んでいく。スタートは96年のニューヨークタンゴと同じく 南に帰る で始まる。ところでオリジナルのニューヨークタンゴはトリオではなくAフォスター、Gムラーツ、Bラグレーン、の4人である。その10年後、ガリアーノはニューヨークトリオを作る タンゴ抜きのジャズを演るバンドである。そこからはサティとニッキーのワルツがこのディスクには入っている。
ガリアーノのタンゴはアルゼンチンタンゴのようなリズムのキレがなくワルツのように流れる、そして音のインナーボイスの動きがジャズ的である。
新トリオはドラムレスでベースとギターだがギターがチェロに持ち替えるのがバンドの音楽性を広げてる。しかしながらガリアーノの第一の魅力はなんだろうと考えるとちょっとなんだけどセンチメンタルな美しさでピアソラとも共通してる気がする。