2015.8.4 虹の彼方にサンディノ貴方

米木康志(b)奥野義典(as.fl)田中朋子(p) 竹村一哲(ds)
これは米木康志セッションと銘打たれたライブ二日間のうち初日の物語である。演奏曲は、「イースト・オブ・ザ・サン・ウェスト・オブ・ザ・ムーン」、「サンディノ」、「ベガ」、「ミッドウェイ」、「ザ・ブラック・アンド・クレイジー・ブルース」、「ゼイ・セイ・イッツ・ワンダフル」(米木訳:彼らは、何ていいんだろうと言ってる)、「アブリー・ビューティー」、「ラテン・ジェネティクス」、「マイ・ファニー・バレンタイン」。事件は2曲目「サンディノ」の終了と同時に起きた。米木さん曰く「この曲を初めて演奏したけど、これは盗作です。」と断言したのだ。若き日の自身がキャバレー仕事をしていた時に、ダンス・タイムに演奏したラテンの曲と瓜二つだと言い、途中からその頃を思い出しながら演奏したというのだ。さらに「チャーリー・ヘイデンもやりますねぇ」と駄目押し。それを聞いていた奥野が「何かがっかり」と呟いたような気がする。“虹の彼方にサンディノ貴方”、つまり貴方の仕事は盗人だったとうい事件の顛末にて一件落着。ところで若い人には不明点があると思われるので少し解説すると、“虹の彼方にサンディノ貴方”のオリジナルは“虹の彼方に3時のあなた”という駄洒落であります。『3時のあなた』とは1970年ころのワイドショウの名前。オリジナルの方の評価は、虹の針を3時につなげる心地よい時間の流れと言葉としての耳ざわりの良さが格別であるというもの、最高位に君臨しております。なお、事件は別として立派なライブでした。
(M・Flanagan)