井上淑彦さん逝く

 3月27日にLBマスターから連絡を頂いた。2日前の3月25日にサックスの井上淑彦さんが亡くなられたというのだ。ここLBで井上さんを最後に聴いてから8年くらい経つだろうか。その日、井上さんは奥さんを同伴されていたので記憶の形が特別だ。その奥さんにLBマスターから筆者が井上さんの大ファンであると紹介して頂いたことを思い出す。
 当日のライブはピアノ林正樹とのデュオだった。井上さんは後年こだわり続けた「ウィッチ・タイ・ト」を演奏した。インタバルの時、今はドラムスがあるため滅多に接続されることのないカウンター席で、筆者から「イースト・プランツ」をお願いしたところ、ほほ笑みながら「やるよ」と言ってくれた。頷いた瞬間、井上さんの眼差しは店内の灯りを映していた。終演後、思い余って井上さんとハグした。込み上げて来ることばかりだ。
 今年の1月に井上さんのレギュラーバンド“fuse”のピアニスト田中正信がLBに来た折に「井上さんは夏頃の復帰を目指しているようだ」と言っていたので、筆者から「病が癒えたら、ここでまた井上さんを聴きたい」旨の伝言をお願いした。復活する期待の方に思いが流れていたので、今回の訃報はあまりに突然過ぎた。昨夜、自室にて「イースト・プランツ」を聴きながら井上さんのご冥福を祈った。合掌。
(M・Flanagan)

2015.1.29 幽玄郷DUO

石井 彰(p) 小山彰太(ds)
 日頃から東京のミュージシャンのライブ・スケジュールをチェックしたりしないので、誰と誰とが共演しているかについては良く知らない。唯一のチェック対象であるLBライブ日程のチョイ書きで過去の共演者や在籍したバンドを知ることができる。こうした事情は多くの人にとって当てはまると推察する。今回のピアニストについても演奏歴が不明だった。日野さんを聴くことから遠ざかっていることも理由に挙げてよい。さて、このチョイ書きどおり、大御所のもとで腕を磨いた演奏家が、本当に秀でた個性の持ち主であるのかを2時間後には証明していなければならない、この聴き方は意地悪な楽しみである。
 曲の入り方は、いきなりテーマのものから長尺のイントロのものまで様々だ。イントロを聴きながら、あの曲かこの曲かを想像するのは普通にあることだが、1曲目の「ミステリオーソ」は予想外だった。暗示力のレベルが高いとイントロが自立した曲のように聴こえるためだ。ここのところはアドリブと共にジャズを紐とく肝心なレシピと思う。ピアノは他の楽器と異なり持ち運べないため、同じ1台が多くの奏者に委ねられる。それによって幾通りもの音の個性を楽しむことができる。この日のピアニスト石井は力強さと繊細さを兼ね備えているが、かなり明快な音を基調としているように思う。明快だからと言って軽い訳ではない。その鳴らせ方により、秀でた個性の証明に2時間は全く不要だった。札幌に拠点をおいたために彰汰さんのことには触れづらいので、あるシチュエーションを設定することによって誤魔化したい。ここに建設現場があったとしよう。そこは普通、楽器音とは異なる不規則な大小の解体音や作業員が去った後の埃っぽい静けさがある。順調に進めば新たな構築物が出現する。だが、ステレオタイプの建物は利便性を優先していて面白みがない。彰太さんの音は徹頭徹尾構築に向かいながら、その解体をも辞さない不思議なスイング感がある。どうやらこの人はパンドラムスの箱を開けることに躊躇していないようだ。孤高の想像力にいつも以上の感銘を受け、改めてDUOという構成による聴き応えを感じた。
演奏曲は、札幌ではその選曲により生計の糧になっているヘイデンの作品から「サイレンス」、「ラ・パッショナリア」、雅やかな和の究極「ナラヤマ」、多分ウェスの「BB」、彰太さん「ロスト・スポンティニアス」、オーネット「ブローイング・シャドー」、アンコールは興奮を鎮めにかかる端正な「ユー・アー・マイ・エブリシング」で仕上げ。ふぅ~。
幽玄郷DUOが果たされたという意味で今日は“幽玄実行”だ。ライブとは全く関係のない内輪の話でまとめる。昨年末から1月にかけて、仕事のため東京に離れたLBゆかりの人物が別々に訪れた(H瀬とS名)。この秋には二人つるんでLBに来ると宣言していった。“有言実行”を願うばかりだ。また有害実行のK屋には良心をもって馬齢を開花させてほしい。
(M・Flanagan)

新聞ネタ

県3連覇
化粧品大手のポーラが全国の女性の肌の状況を分析した「日本美肌県グランプリ2014」を発表した。一位は三年連続で島根県で北海道は18位だった。「肌が潤っている」「きめが整っている」などの6部門で評価し4部門で出ベスト3にランク入りした。地域性かなと思い鳥取県を調べたが10位には入っていなかった。よく秋田美人と言うが秋田県は7位だった。秋田美人は色白で・・・・・と言うが色白は日照時間との連動している。そうすると北国はどの件も上位に入っているかと言うとそうではない。2位、高知。3位、愛媛となっている。
何か伝統的な風習で一位になっているのならうれしい。同社は「北海道の乾燥や気温の低さが潤いになどに悪影響を与えたが、紫外線の少なさが肌理のよさにつながった」とみている。
ポーラも化粧品の開発のためにデータ解析をしているのだが、今までの化粧品のキャンペーンを見ていると小麦色の肌がよかったり、透き通るような肌がよかったりでその年の戦略で化粧品を総取替えさせるぐらいのことは考えていると思ったほうがいい。そして化粧品は高い。飲んでいるときに値段を知ろうものなら持っているブランデーグラスをおとすぐらい高い。だがそのことは決して口に出してはいけないし、その化粧品が値段分の効果をもたらさない場合もあるがそれは考えただけで特定秘密保護法に抵触する。
2大学進学なら最高100万円
鹿児島伊佐市定員割れが続く県立大口高校の入学者を確保するため四年制大学に進んだ生徒に奨励金を支給することを決めた。旧帝大、難関私立大は100万、ほかの国公立と私大は30万を配るらしい。教育現場で金で若者を釣るのはやめにしてほしい。担当者は大口高校に注目を集めたいと話しているらしいが注目は集めていると思う。馬鹿な高校として。入学定員120に対し61人しか集まらなかったとしたら、根本的な問題を抱えていると考えるのが常人だ。この春大学に進学したのは36人だったらしいが選ばなければ全員は入れる時代に1000万の費用をかけてあほな大学に入る小賢しい高校生集めて市政を圧迫する愚かしい政策だ。いも美の飲みすぎだ。

株式会社化

新聞の片隅に「国立大の交付金改革成果で配分」との記事があった。教員や学生数に応じて配分されていたものを産学連携の研究成果などを点数化し配分に差をつける方針だ。
もう株式会社と一緒だ。会社の存在理由。「利潤の追求」これ以外にはありえない。良い悪いの問題ではない。会社も利口だ。優秀な人材がほしい。これには情報うを少なくし間口を狭くして相対的に学生数が多くなるようにする。溢れる学生は次を探す。これが人件費を抑える秘訣だ。企業側も再度学生を教育しなおすのは時間も金もかかる。大学時代に費用対効果の意識を持ってもらったほうが助かる。そんな思惑が見え隠れする。
そういえばノーベル賞もやけに特許に結びつく研究が多くなったような気がする。湯川秀樹のように科学の分野から世界を語るような人も出なくなった。
学生時代ある先生がいった言葉を今でも覚えている。「君たちは社会に出たら必ず有用な人間になるように求められる。学生時代は思い切って無駄なことをしなさい」
無駄といってもマージャンとパチンコに明け暮れることではないことはわかった。
僕は急速にJazzと映画に傾倒していった。
実際会社員になって大学で勉強したことがすぐ役に立ったことは何一つない。企業も年功序列、終身雇用が基本にあったので学生を企業色に染める時間的余裕があったのだと思う。「即戦力となる人材を求めている」こういう会社は危ない。どの学生も会社員になることは初めてなので即戦力など無理です。高校野球をやっていた大谷がすぐプロで通用するのとわけが違う。
大学も会社のようになってきたがこの国も会社の様になってきた。トップダウンで何事を決めたがる社長の様な首相が経済成長優先の政策一本で選挙に大勝してしまった。国家が会社のようであって一番困ることはつぶれることである。先進国はどこも成長率は低い。高い国はシエラレオネやアルジェリアなど基盤が整っていない国なのだ。前年はカダフィ大佐率いるリビアが成長率一位だと思った。ではシンガポールなどうなんだというかもしれない。金融と情報産業と観光だけで食べているあの国が一党独裁で自由が制限されていることはあまり知られていない。法人税も安く世界中から一流企業が集まって来る。阿部さんもそういうイメージを持っているのかもしれない。「法人税を下げなければみんな海外に移転して雇用がなくなりますよ」とか「原発を再稼動させなければ電気料金上がりますよ」といって恫喝する。
金がすべてではない。みんなちょっと我慢すれば国がつぶれないで存続するビジョンがあるのではないだろうか

最後に付け足しになるがCity jazzのプロデューサーが公金横領で懲戒免職になった。初年度一緒に仕事をしたがjazzに対する愛情のかけらもない人であった。自治体が文化の隠れ蓑を着て興行を打っている株式会社化の落ち着く先だ。