ちょっといい話 その2

周年記念の6日目。名優ユル・ブリンナー風のお客さんが来た。デニチエンコさんだ。後で確認した事であるが5年ぶりの来札である。ネームプレートの下がったいも美を出すと驚いた表情になった。前回大勢で来てくれた時ウオッカやらジンやら店のスピリッツ類は全部飲み干し提供できる酒は無くなってしまった。それで焼酎は大丈夫かと聞くと大丈夫と言うのでいも美の一升瓶を出した。「いも美」を一升瓶でキープした人はいない。5年前のキープボトルなので流石に中身は使ってしまったがネームプレートを店のボトルに付け替えて出した。デニチエンコさんはペテルスブルク出身の工学博士でロンドンから一時間くらいの所にあるワーウィック大学で研究している。スタン・ゲッツのロンドン、ロニースコットクラブでのライブ盤を見せると行ったことが有ると言っていた。ジャズ好きな方である。ワーウィック大学と北大はデニチェンコさんの専門である流体力学の分野で学術提携をしているらしく定期的に来札している。この大学ブレア首相の母校であるが一番有名な在籍者はスティングである。前回その話をすると「彼は卒業していないんだよ」と言っていた。確かスティングは教員免許を持っているはずである。卒業しないで教員免許を取れるかについてのイギリスの教育免許制度については知識はないがスティングが小池百合子の様に経歴詐称していることはないと思う。この日は3人、5日後のライブも6人で予約してくれた。その日は全員研究室のスタッフで何かプロジェクトが一段落した打上の様であった。ボトルは空いてしまった。会計の際次回来ると時の為に新しいボトルを入れて帰りたいと言ってくれた。「ありがとう」と僕に握手を求めMr denitienkoと書いた絵馬風のネームプレートを持ち帰った。今度来れる時期を聞きそびれてしまったがそれまではやり続けなくてはと思った。