日曜日の印象

ロックバンド「ジエスロタル」の曲に「日曜日の印象」という曲がある。世の中鬱陶しい事や腹立たしい事が多い中でこの日、日曜日の印象の印象はとても良いものがあった。店に来る途中子供たちが公園でサッカーをしていた。ミスキックをしたボールが道路にこぼれてきた。一応サッカー部であった。腕に覚えがある。この場合足に覚えがあるというべきか・・・。黄金の右足のインフロントキックで蹴り返すとまぐれではあるが子供の足元にぴたりと返せた。子供は「ナイパ」(ナイスパスの業界用語である)と声をあげて褒めてくれた。僕は親指を立て「お安い御用だぜ」といったクールな表情を浮かべ中田英寿のように立ち去った。この日は新学期になって初めての学生昼ライブで大勢の学生が来てくれた。見慣れない顔が大勢いる。北大だけではないようだ。新入部員もいるらしい。良い兆候である。どうか長く続けてほしいと願いつつ演奏を聴いていた。演奏に触発されたのか自分も昼ライブをやりたいとの申し出が2件あった。演奏終了後調律師の渡辺さんが切れた弦の微調整に寄ってくれた。少し前「青春の10枚」に投稿してくれたのだが色々なライブで同じ空間にいたらしいという昔話で盛り上がった。この日はなんとなく機嫌がよい。帰りしな24条通りの交差点で女子高生二人が「こっちじゃない」「いやきっとこっちよ」と会話をしている。この界隈で若者が場所を探している場合8割が「林檎堂」というデザートショップである。外に出ているメニューの写真ではリンゴにストローが刺さっているがどういったものなのかはよくわからない。曜日によっては長蛇の列ができていることがある。僕は女子高生に話しかけることなどないがこの日は機嫌がよかったので「林語堂なら左に曲がって1丁行った角だよ」と教えてあげた。「何このおじさん、1丁ってわからないし・・・」とは言わなかった。普通に「ありがとうございます」と言って多分インスタグラムにあげるデザートを食べるために林檎堂に向かった。信号待ちで犬の散歩をする女性と一緒になった。ブルドックのようなチンのようなブルテリアのような犬種であった。今流行りなのであろうがに電飾の首輪をつけている。犬の存在を知らせる危険防止のためだとは思うが目の周りでちかちかしているのは気の毒だと思うのとデコトラのトラック野郎を思い出してしまう。その日は機嫌がよかった。飼い主さんに「なんていう名前ですか」と話しかけた。愛犬家で飼い犬のことを聞かれて嫌がる人はまずいない。「ペロです」と教えてくれた。僕はできるだけ犬と視線の高さを一緒にし「ペロちゃん」と声をかけた。すごい勢いでなめてくる。それでペロなのだと思う。飼い主さんが「好かれたみたいですね」と言った。信号が青になってもまだかまってほしいらしく僕の歩調に合わせてくる。
穏やかな日曜日というものは大体こういったものである。
家に帰ると「お帰りなさい。ごはんそれともお風呂、それとも・・・」と女子高生風の妻が迎えてくれた。いかんこの年になっても・・・まだ邪念がある。