U2

憂鬱である。腰痛になったからである。日曜日の深夜、鈴木央紹と学生のライブの打ち上げ後、突然やってきた。それは毎回突然やってくる。次回は何月何日にお邪魔します・・・・というような案内は一切ない。カウンターでパソコンを操作していただけだ。打ち上げ後でいい感じで酔っていたので動作はよく覚えていないが横着して手を伸ばし何かを取ろうとしただけだ。板氷を割る時に水を掛けるとするあの「ピッ」と言う音が腰にする。痛さに耐えかねて椅子からずり落ちる。取りあえず最初の痛みが引くまではボックス席で横になる。jazzを聴き続けて50年、腰痛と付き合って30年。対処法は知っている。最初に腰を痛めた時のことは今でも覚えている。会社員の時だ。重いものを持った。重いものと言っても漬物石を持ったわけでも彼女をお姫様抱っこをしたわけでもない。現ナマ3億入ったケースを持とうとした時だった。サラリーマンの生涯賃金が2億から3億と言われていたジュラ紀の話だ。俺の一生の重みか・・・・・と思った。それから「やつ」はフーテンの寅さんのように時々やってくる。おいちゃんとさくらに迷惑を掛けながらもしばらくするとどこかに行ってしまう。
若い時は本当にうっとしい「やつ」だと思っていたがある年齢になるとずっと付き合っていかなければならない「あまり好きでないやつ」と思えてくる。基本的に店も私生活も一人で全部やらなくてはならない。腰を曲げずに顔やグラスを洗う方法も編み出している。だが一番大事なことはもっとひどくなった時のことを考えておけと腰痛は教えてくれるのである。
整形外科や整体にも行ったことがあるが今は自然治癒で直す。どこか痛くなる時は体からのメッセージなのでその声を聴くと思いいたる節がある。それを取り除くと取り敢えず治るというのが経験則だ。一番わかりやすいのが本当に飲みすぎた時で胸が悪くなるのではなく体が痛くなる。
体は賢いのだ

参考文献
甲野善紀「身体を通して時代を読む」