パリの空の下ジャズは流れる

だいぶ前の話になるがウディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」という映画を見た。小説家志望の主人公が婚約者の彼女とパリ旅行に行くのだが12時過ぎると1920年代のパリにタイムスリップするという話である。あるパーティーに行くとそこにはS・Fジエラルドとゼルダがいる。ある時はピカソ、ヘミングウエイと文学や芸術の話をする。ダリ、コール・ポーターもいる。ライブハウスに行くとコクトーや黒人ダンサージョセフィン・ベイカーがいる。百花繚乱のパリ黄金期に取りつかれるストーリーになっている。その辺の文化事情の詳細が分かる本に出合った。それが「パリの空の下ジャズは流れる」である。1920年代から1950年代までの音楽、文学、映画、政治状況が一望できる。ジャズとクラッシックの相関関係、コクトーを通じてジャズとサティ、ドビッシーが影響し合う過程などエピソード満載である。どのページを読んでも小説のように面白い。毎日一話づつ紹介したいくらいだ。ジャンゴがいてルイ・アームストロングがいてエディット・ピアフがいる。スイングジャズの知識がある人には超お薦め本である。2段組み600ページの大作であるので秋の夜長にはもってこいの本である。
「パリの空の下ジャズは流れる」宇田川悟著 晶文社