ボタン

シャツのボタンが取れた。上から二番目のボタンである。一番上のボタンは普通留めないので二番目がないと襟ぐりが大きく空いてだらしないのである。冬の間はマフラーを撒いて誤魔化していた。ボタンの一個くらいつければいいのではと言う話になるのは分かっている。僕もボタン付けくらいできる。半返し縫いも本返し縫いもできる。もっと言えばチェーンステッチで刺繍だってできる。針に糸が通ればの話である。こういうことができなくなると歯がゆくなる。
近所のお店のAにお願いしてつけて貰った。替えボタンが入ったケースとシャツを置いてきた。似たようなボタンをつけて貰えば良いからと言い添えた。
30分もしないうちに「はーい」と言って持ってきてくれた。
前面のボタンが全部同じ種類になっている。袖のボタンが二個とも似たようなボタンに変わっている。袖のボタンを移し替えてくれたのだ。とれそうだった他のボタンもしっかり付け替えてくれている。
こういうさらっと気配りができる昭和の女性は少なくなった。
こういうことができる人だ。店が毎日にぎわっているのは言うまでもない