マンボウ日記 vol1

マンボウになって5日目である。ミュージシャンでライブを休みたいという者はいなかった。と言う事で店は開けている。二時間黙って音楽を聴くとことが感染拡大の根源だとは思わないからだ。ライブの無い日も一応店には来ている。お客さんが来ることを期待して開けているわけではない。雪掻きとパソコンを使う事務作業の為である。何せ自宅にはネット環境が整っていない。ずいぶん前に解約してしまった。何もしたくない時ついつい「あれ」の動画を見てしまうからだ。「あれ」を見だすときりがない。それでなくとも残されている時間はそんなに多くないのに晩節を「あれ」に費やすのは馬鹿げている。抑止力は自分の道徳心だけである。
「あれ」は大衆の嗜好に合わせて次々と新兵器が出てくる。それに対抗するのは莫大な費用が掛かる。敵基地攻撃能力を常備するのに次から次へと武器を買わされている今の日本を見るようである。「あれ」に出てくるおもちゃも北朝鮮が打ち上げているミサイルも大人のおもちゃに見えてしょうがない。
2月の半ば、東京から松島啓之、岡淳、原大力を迎えて延べ8日間の「あれ」をやる。ついつい「あれ」と言ってしまった。隠す必要はない。ライブである。東京にいても札幌に居てもリスクは同じである。移動によって感染拡大のお先棒をほんのちょっと担いでいる自覚はある。半年前に考えた企画である。共演を心待ちにしている札幌のミュージシャンもいる。お客さんは少ないであろうがやることにした。店の寿命を延ばすことを考えるのならやらないほうが良いに決まっている。だが延命装置を付けたような生き方したくないのでついついやってしまう。そういう意味では「あれ」を見てしまうのと似ているかもしれない。