我が逃走

元総理菅直人氏が維新のオーナー隠れ社長、橋下徹氏を「ヒトラーのようだ」と発言して物議を醸し出している。維新から立憲の泉健太代表に抗議文が届けられた。ところが泉代表は個人のツイッター上の事なので党としては関与しないとした。元々根拠のない言いがかりである。堂々と対峙してほしかった。この代表就任時から提案型国会審議を目指すといいながら世論が対峙型も求めていると見るや方針を変える。何事も丸く収めようとの姿勢が見え見えだ。逃げをうっては人心は離れていく。あなたがきれいな女性で彼氏と歩いているとする。その時ガラの悪いチンピラ風情が絡んできた。もし彼氏が逃げたとしたらその彼氏を信用するであろうか。ただあなたの美貌がそれほどではないとしたら政府の女性活躍推進法を思い出し、彼と一緒に戦うべきである。ヒトラーでさえ「我が闘争」なのであるから・・・。
菅氏は橋本氏をアウシッビッツに何百万にも送り込んだヒトラーに例えているわけではない。
その初期の弁舌、大衆の人心のとらえ方の手法に於いて類似点があると主張しているのである。勿論許容できないものとしてである。以前麻生太郎氏がナチスの政治手法を真似るのは有効だ・・と発言し石原慎太郎氏も「橋下徹氏は若いころのヒトラー」と発言している。両氏とも誉め言葉として使っていた。この時はあまり大きな問題になったとは記憶していない。
橋下徹氏は大阪市長時代、全職員に対して思想調査を行った人間である。だがマスメディアと市民の反応は鈍かった。今日の支持政党の世論調査で維新が立憲民主党を抜き第2党になっていた。日経新聞の調査なので話8割としても危険な兆候である。全体主義的な政治家が現れどんどん勢力を伸ばしているのにマスメディアでは警報もならない。橋本氏はヒトラーに例えるのは国際法上でも問題があると嘯いている。実際今のフランスではコロナ政策に反発しているフランス国民がマクロン大統領をヒトラーに見立てた看板を持って盛んにデモを行っているが国際的に問題になったとは聞いていない。
次の発言は菅氏を評した橋本氏のものである。
「民主国家の政権は期限付きのある種の独裁だという本質の理解がなければ政権も獲れないしそれを運営することもできない。この本質の理解がなかったからあんなマニフェストを作り消費税増税をやって有権者から見放されたことをまだ分かっていないの?」
相変わらず民主主義に関するデマを流し続けている。維新関係の人物はマスコミへの露出度が高い。混乱期の人心掌握手法はナチのゲッペルスのそれである。
民主主義の本質は決定前の議論であり、勝った者が支配する独裁ではない。
ヒトラー的政治家をヒトラー的と批判できないと、ヒトラー的政治家の再発を防止することは出来ない。
相田和弘というノンフィクションの映像作家がいる。
相田氏は橋下氏と維新の台頭、そして第二次安倍政権樹立の流れを評して、「熱狂なきファシズム」と呼んだ。じわじわ、こそこそ、低温火傷のようにゆっくりと進んでいく全体主義。それは現在でも進行中で、どんどん重篤化していく。そしてコロナ禍で一気に進んだ感があるという。
付記
おすすめ本
「熱狂なきファシズム」相田和弘
去年の秋まで4丁目角に蔦屋があった。そこにはミニシアターのコーナーがあって相田監督のDVDもまとめて展示されていた。他の店は味噌も糞も一緒で探すだけでめげる。見つけたら是非見てもらいたい。