文化の日

11月3日文化の日である。文化の日は僕に文集のことを思い出させる。60年ほど前の事である。小学校で文化の日近くなると必ず作文を書かせられる。優秀作が掲載され全児童に配られる。1948年初めて「文化の日」と言う祝日になった。その前は明治天皇の誕生日として祝っていたと薄ら聞いたことがある。二年前のこの日に「日本憲法」が公布された。「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」と制定された。当時の小学校レベルだと文化と直結するものと言えば作文だったのであろう。だが小学生で文章にしたくなること感動的な事など頻繁に起こらない。寺田寅彦ではないのだから日常生活の「ちょっと」したことなど上手く文章にできるはずがない。当然苦痛になる。僕は数年、同じ題材で年飼っていた小鳥の事を描いた。先生から「主題を変えるように」とは言われなかった。反論は用意していた。「先生、コルトレーンは毎回マイ・フェバリット・シングスをやっていますがあれは良いのですか」先生は困るはずだ。僕もコルトレーンと同様同じことを書いていると上達して文集に載ったことがある。当時は「文化」と言う語がパワーワードであった。文化包丁、文化住宅、文化焚き付け・・・・文化が付くとワンランク上と言う雰囲気を醸し出していた。今で言うと「プレミアム」だろううか・・・・プレミアム商品券みたいな。時代によって流行る言葉が変わっていく。
話は変わる。文化の日はソ連の人工衛星スプートニク2号がライカ犬を乗せて地球の軌道を回った日でもあることを知った。スプートニクの話が出てくると僕は村上春樹の「スプートニクの恋人」を思い出さずにはいられない。
主人公の二人が文学の話をしている。一人の女の子はジャック・ケルアックに心酔している。もう一人はケルアックは名前程度しか知らない。その人って「スプートニクの」と言うくだりがある。「ビートニク」と「スプートニク」を勘違いしているのである。この下りが妙に可笑しい。そしてこの種の勘違いはよくあるのである。
「憧れのハワイ航路」と言う昭和歌謡がある。これを「憧れのホイコウロー」と言った人がいた。
スプートニクスの成功によってソ連は宇宙開発ではアメリカに一歩先んじ、スプートニクスというグループサウンズが「霧のカレリア」と言う曲を大ヒットさせた。
僕は黛ジュンのヒット曲「恋のハレルヤ」と「霧のカレリア」を間違える文化の日