「女帝 小池百合子」 石井妙子著

石井妙子のノンフィクション作品はどれも面白い。僕は「原節子の真実」「おそめ 伝説の銀座のマダム」が好きである。これらについてはブログで述べたことがあると思ったがデータが見つからない。ここに至って「女帝 小池百合子」がにわかに話題になっている。これがジャニーズ問題と無関係ではないのである。性加害を受けた人物が実名で告白しその行為が社会を動かしつつあるのだ。「女帝・・」では小池のいくつかの疑惑について述べられている。その一つがカイロ大学主席卒業という勲章である。この本を読んだ人間はそれが経歴詐称であると確信するはずである。だがこの疑惑はマスコミ、ワイドショウでほとんど話題にはならなかった。あまつさえ選挙結果にさえ影響しなかった。この本で重要な発言をしている人物Xサンはカイロ大学在学中のルームメイトである。この本が出版される頃には小池は日本の政界で隠然たる権力を持ちつつあった。実名で出ることに身の危険を感じたという。それで仮名での表記になっている。だがジャニーズの実名での告発に後押しされる形で文庫化されるのをきっかけに実名表記に変更したという。小池百合子の政策は一見まともに見える標語で表現されるがどれもが恣意的な解釈に満ちた自己都合に満ちている。嘘の原点は政界に取り入るために経歴詐称をしなければならなかったこの時期にある。次の選挙で都民が経歴を見逃すはずがない。面白い本である。文庫化で値段もお求め安くなっているはずだ。お薦めである。