ノーベル賞と国家権力

日本に生まれただけの真鍋淑郎氏がノーベル賞を受賞した。今前世界が直面している気候変動の予測モデルを発案した。日本に生まれただけのカズオイシグロがノーベル文学賞を取った時も日本人がノーベル賞を受賞したと報道された。国籍は日本ではない。日本人になった白鵬が年寄りになった時モンゴル出身といわれ細かい注文を付けられる。その根底にあるものは何か・・・・。皇室問題、難民冷遇にも通ずる日本人純潔思想を感ずるのである。
真鍋氏は言う日本での研究は気を使いすぎる・・・と。ここ最近ノーベル賞を受賞する日本国籍人(変な日本語だがしょうがない)も研究拠点を海外に求める。
日本国内ではすぐ金儲けに繋がる成果を得られない研究は冷遇される。感染症が爆発してからワクチンを開発する国になり下がってしまった。ネイチャーに発表される論文数も年々減ってきている。意欲のある研究者は海外に出ていかざるを得ない。教育研究は国家の根幹をなすものである。人材移転がどれだけの損失になるか気が付くべきである。大学が社会に出る予備校化し経済界の意向に左右される傾向にある。一番勉学に励む時期に就活に一年以上割かれる。当然レベルも下がる。学者も政府の顔色を伺う忖度学者ばかりになってしまう。日本学術会議任命問題にも通ずる問題である。
「ドクトルジバゴ」と言う映画がある。「アラビアのロレンス」と同じ監督デビット・リーンの作品である。ロシア革命時期の人間模様を描いた超大作である。語りどころ満載の映画であるがそれはいずれシネマレビューのコーナーに回すとして原作が描かれた当時の状況を述べてみたい。作者はパステルナーク。ノーベル文学賞を受賞した。冷戦下のソビエトで革命時期のロシアの内情を描いたとしたら発禁カイロは免れない。だが「決して戸は開けないでください」と言われると開けたくなる「鶴の恩返し」状態になり本は読み継がれた。その裏ではCIAがパステルナークにノーベル賞を取らせるべく暗躍していたという。概して禁止するより好きにさせたほうが良い結果になるものだ。パステルナークへの当局からの締め付けは厳しく授賞式に出席した場合には家族の安全は保障しないと脅された。結局パステルナークは出席を諦めた。その賞金も本人には一ルーブルも渡ることなく特許許可局国庫局(書くのは簡単だ)に収められた。