昔の名前で出ています

マイナンバーとマイナンバーカードは全く別物である。ジャズとブルースくらいの関係性である。河野大臣がマイナンバーカードは名前変えたほうが良いと言い出した。僕も当初マイナンバーをカード化したものがマイナンバーカードと思っていた。だが待てよ・・・。毎年確定申告の時添付を求められるカードは・・・。戸棚の奥に隠している重要書類ケースを取り出した・・・。個人番号カードとある。僕は作っていないので毎年このカードの申請書のコピーと身分証明書を添付しなければならない。まあ年1回の作業で一手間かけるだけなので煩わしくはない。料理は一手間かけると美味しくなるが確定申告書は一手間かけても立派になるわけではない。まずここで身分証明書であるが僕は免許証を使っている。保険証とパスポートも使えた。パスポートには住所情報がなく身分証明書としては使えない。保険証も廃止する。兵糧攻めである。車には殆ど乗ることはないが身分証明書と思って何年に一度かの免許更新に行っている。ところがこの免許証もマイナンバーカードに紐づけしようと警察庁は目論んでいる。
この出ては消え、消えては出てくるマイナンバーとマイナンバーカードの事を考えると僕は小林旭が歌っていた「昔の名前ででています」を思い出す

京都にいるときゃ
忍とよばれたの
神戸じゃ渚と名乗ったの
横浜の酒場に戻ったその日から

あなたがさがしてくれるの待つわ
昔の名前で出ています

国民総背番号制の導入が検討されたのは1968年佐藤内閣の時代である。名目は各省庁が個人コードを利用して行政機関の業務の無駄をなくしサービスを向上させるという事である。だが管理社会に繋がる危惧から頓挫した。マイナンバーとマイナンバーカード足したような発想であった。
次に登場したのが税の徴収に特化した納税者番号制度である。この制度は1979年に税制改正に答申されたが目的があまりに露骨である為上映禁止になったポルノ映画の様に消え去った。ところが渚と名前を変えて又出てきた。グリーンカード制度である。少額貯蓄者に利する体裁を整えて所得税法の改正案としてでてきたが1985年廃案となった。
ここに税制番号制度とは別の流れが出てきた。住民基本台帳ネットワークである。
市町村が個別に保有する住民基本台帳を全国共通の本人確認ができる様にするシステム。1999年改正法が成立した。住基カード公的身分証明書としての機能があり電子申請の本人確認が可能である。
マイナンバー制度の個人番号カードに類似している。だが平成26年度末普及率は5%に留まっている。個人情報保護の観点から反対が強く個人情報保護法が整備されることとなった。
そしてマイナンバーの登場となる。社会保障と税の一体化を名目とし正確な所得の情報に基づいて正確な所得の再分配。給付の迅速化の面を強調する。そして忍やら渚と名前を替え国民を煙に巻きながらマイナンバーカードの登場となる。ポイントの飴と保険証廃止の鞭を駆使し取得率67%までとなった。
「あなたがさがして取得してくれるの待つわ
昔の名前で出ています」
と言う事になる。