AV女優

わたし、薬物が好きな人なの。もう大人だから、さすがにシンナーは恥ずかしくてやめちゃったけど、今でももし目の前にポンとシンナー置かれたらやっちゃうね。気持ちいいんだ他にコカインとか覚醒剤とか色々試してみたよ。私ねセックスの時どうもあそこがヒリヒリしていたくなっちゃうの。でも覚醒剤をあそこにすり込むと熱を持ったみたいにポンポンと熱くなってすっごい気持ちいいんだよ。あっ、これ全部昔の話ね。・・・・・
有森麗。推定20歳
AV女優42人にインタビューしたノンフィクション「AV女優」永沢光雄著の一部抜粋である。一番穏やかな部分を選んだつもりである。だがこれなどは単なる序章で人目を気にしながら読むような個所もあるし眩暈がしそうな表現もある。しおりの位置からしてまだ全部読んでいない、未読コーナーに平済みになっていた。この本がある本に紹介されているのを目にした。尚且つこの本を授業に使った先生がいる。先生の名は高橋源一郎。読むと言う行為はどういうことかを問うのである。
学生の中には怒る人間、後ろめたい感覚にとらわれる人間もいたようだ。学生にとってはほとんど同世代の少女が全く違った世界で生きていることに衝撃を覚える。そして様々な問題を投げつけられる。この文章はインタビューから文章を起こしたものである。難しい表現も読めない漢字もない。文章としては理解できる。プルーストやサルトルのように何を言っているのかさっぱりわからないと言う事はない。ただ考えさせられる。源一郎先生はそれが良い文章だと言う。
ここでの女優たちは饒舌であり溌溂としている。逆説的な意味で純粋無垢なのである。それを引き出したのは永沢光雄の力なのだ。
読んだ後で違う人間になっているような文章を読めと源一郎先生はおっしゃる。
参考文献
「『読む』ってどんなこと」高橋源一郎著
「国語入試問題必勝法」清水義範著
国語の参考書ではない。我々が学生の頃受けた国語教育のパロデイ小説。