巣籠日記 その6

Alone togetherはAの部分が変則的な小節数なので規則的な4バースをやるとなかなか頭に戻れない。ここ数カ月そういう生活になっていた。寝る時間がどんどん遅くなり、さすがに陽が昇りきる9時頃になるともう寝なくてもいいかと言う事になる。試験勉強をしているわけでもないのに徹夜になったりする。体内時計がNight &dayをはっきりさせてくれと言っている。僕は答える「Naniいってるんday」
僕はでは酒は飲まないし煙草も貰い煙草に変えてから半年以上になる。朝までいも美を飲み続ける日々と比べるとどれだけ健康的かと普通考えるが必ずしもそうとは言えない。体にヤクザな生活のリズムが染みついているのである。
昨日ずれまくっていたリズムが世界一周して頭に戻ってきた。
12時に寝て朝6時に起きてしまったのだ。こんなことは統計を取り始めてから一度もない。数十年ぶりの快挙だ。朝食を食べ終わってもまだ7時。午前の時間がコルトレーンのソロくらい長い。こういう日は一般庶民に習ってやるべきことからやろうと思う。まずは特別給付金の手続き。行政の提出書類にしては簡潔であった。身分証明書になるものを一枚コピーすればいいだけの話だ。そういえば昨日母親からコピーはどこでとれるのかと聞かれた。そうか・・・コピーしたことないのだ。近日中に行くから必要事項記入して待っているように言った。
コンビニにコピーを取りに行く道すがら前を初老の男性が歩いていた。右手に黄色い封書を持っている。特別給付金の返信用封筒だ。その男性はコンビニ前のポストの前で柏手をパンパンと二回すると封筒を投函した。
朝7時のコンビニには誰もいなかった。コピー機の前に「レジの対応のお客様が優先になります」との張り紙があった。母親みたいにコピーの取り方が判らない国民が大勢来るのだ。
僕は次の家賃まで振り込まれますようにと心で柏手を打ち投函した。