米朝と米中問題

桂米朝の演目で「冬の遊び」というものがある。所謂廓物と呼ばれる話でわがままなお大尽が花魁道中で一世一代の見せ場を作っている太夫を呼び戻し夏の真っ盛りに幇間に何枚もの丹前を着せ鍋物を食べさせるという半ばいじめのような話である。置き屋の女将が堂島の金づるを怒らせては拙いと言う事で花魁道中であっても太夫をお座敷にあげるという行為はまさに「長いも」には巻かれろと言う事である。推理小説ではないので落ちを言う。あまりの暑さに太鼓持ちが水に飛び込む「これも、寒中修行だ」・・・・
あれ、こういう我儘な人いたな・・・と思った。米国のペロシ下院議長である。なぜこのような時期にわざわざ波風立たすような事をするのだ。蔡英文総統と面会する日、沖縄の嘉手納基地には米国の戦闘機が集結していた。不測の事態に備えるためである。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる・・・いつか流れ弾に当たらないとも限らない。米国は中間選挙が迫っている。民主党は苦戦が予想される。負けると委員長は共和党に移る。ペロシとしては地位のあるうちに最後の花道と考えたのかもしれない。個人のレガシーの為に他国民を危険に晒す。アメリカにとって日本はその程度の存在である。岸田総理はペロシ議長と会談した。韓国の尹錫悦大統領は理由をつけて面会しなかった。中国を刺激しない為である。それが普通の外交センスというものである。
桂米中の「夏の火遊び」の一席。お開きとさせていただきます。