歪んだ司法

日本は三権分立が整っている民主国家であると中学校で習った。ところが貧乏で中学校に行っていない行政の長である安倍総理が「自分は立法府の長」であると発言したことが有った。それでも曲がった法は大岡越前の守が出てきて質してくれると思っていた。だがそうではない事例が2件あった。
大河原化工機という中小企業がある。精密な噴霧器を作る会社でその技術はICパネル等に利用されている。日本の高度成長を支えた「下町ロケット」を実現したような会社で良心的な町工場である。そこに公安警察の取り調べが入り幹部3人が300日もの長期にわたって拘留された。容疑は生物兵器に転用可能な技術を無断で中国、韓国に輸出し経済安保法に抵触すると言う事であった。身に覚えのない3人の幹部社員は容疑を否認し続けた。そうすると「人質司法」の名の通り拘留期間は長期に渡る。カルロス・ゴーンの気持ちも分からないではない。ゴーンが棺桶に隠れて逃げた日は確か風の強い日であった。・・Gone with the wind・・・箸休め。その間に一人の社員が発病し保釈を申請したが認められ死に至った。幹部社員3人欠き公安の捜査も入ったという風評被害で大河原化工機の売り上げは10億も減った。ところが公判直前になって検察が訴えを取り下げた。公判を維持できないとの判断である。踏んだり蹴ったりの苛めを受けた大河原化工機は国と東京都を相手取って損害賠償の訴訟をしている。その公判で公安警察の捜査官が発言している。事実確認の場で「まあ、捏造ですね」とシャアシャアと言ってのけた。裁判官は聞く「それはなぜですか」「まあ、個人的な事情によります」「個人的な事情とは何ですか」「部内での自己の評価を上げるためです」おもわずZEKする・・・・アアア~ア、ア。「棄民の歌」である。人の人生と引き換えに自分の立身出世を目論む。アアア~ア、ア。検事も出廷した。「謝って提訴したことを謝る気持ちはありませんか」の問いに「当時の判断では正当と思っていたので謝罪の考えはありません」と述べた。
余の辞書に謝罪という文字はない・・・という事である。検察の体質を表している。
もう1件の事例は袴田事件での検察の出方である。死刑判決の再審を言い渡された検察が改めて有罪を立証すると表明した。東京高裁から証拠捏造の可能性を指摘され引き際を失った検察はメンツを保つだけの為に延長戦を選んだ。袴田さん87歳。姉のひで子さん91歳である。マスコミのインタューを受けたひで子さんは「57年戦ってきましたので2,3年伸びることなど何でもありません」と歯切れよく答えた。ネット上で支援活動が広がっている。僕も一口載っている。
香港返還の調印の席であったと思う。鄧小平がサッチャーに「中国は4000年の歴史が有る。100年待つことなどなんともない」と発言した事を想い出した。頑張れひで子さん!
検察は間違いを認めて謝罪するという風土が全くないように思われる。それは官僚全体にいえることでもあるが間違いを認めて方向転換する組織の方が国民から信頼されると思うのであるが・・・