8月31日西武そごうの池袋本店で買収による雇用継続を巡って業界62年ぶりのストが敢行された。ちょうどその日札幌では駅前の商業施設エスタが45年の営業に終止符を打つことになった。奇妙な縁を感じた。学生4年目の年、人並みに就職活動をしていた。第一志望は西武系のパルコ、パルコ劇場を持ち糸井重里、山口はるみを起用し消費によって個性を表現する時代の最先端を疾走しサブカルチャーのインキュベータ的会社であった。札幌での一次試験には200人以上いたと思う。その試験を潜り抜ける二人に選ばれた。二人で渋谷に行った。もう一人は高校の同級生で誰が考えても僕の方が向いている。面接官は堤清二の片腕の専務か常務の肩書の人でよくテレビに顔を出していた。履歴書の趣味か何かの欄にjazzと書いたのだと思う。その役員からjazzを聴いてよかったこと・・・は有りますかと質問された。おお絶好球が来たと思った。jazz とポピュラー音楽のとの関係性、サブカルチャーに果たした役割についてスタン・ゲッツの様な滑らかなフレーズで答えた。北海道から渋谷まで来て二人とも落とされることなない・・・これで当選確実と思った。だが役員が言ったセリフが気になっていた。「入社後適正がない人は西武百貨店の方に出向してもらうこともあります」と言ったのだ。もう受かった気でいたので百貨店はいやだな・・と思っていた。ところがである、二人とも落とされたのである。僕はもう一社内定を貰っていたのでそこに行こうと思っていた。そんな折千葉出身の大学の友人が悪魔のささやきで言ったのである。千葉にそごうという百貨店が有って地元では一流企業で通っていると・・・。
札幌駅前で工事しているキーテナントである。店舗ができた時の1期生を募集している。1期で入社するのなら行ってみるかと思って試験を受けた。結局そごうに入社し20年勤務した。その後そごうも経営を縮小するため札幌は閉店した。ひょっとしたら西武に行っていたかもしれなかったがライバル社のそごうに入りM&Aで西武とそごうが合併しストを打った日エスタビルも閉店した。因みに一緒にパルコを受けた同級生Mは最近亡くなったと店に来た他の同級生に聞いた。
付記
最近ストはめっきり見かけなくなったが70年代春闘の時期ストは春の風物詩であった。汽車もバスも良く止まっていた。あまり文句を言う人もいなかった。62年ぶりのストである。連合の芳野会長はこういう時でも顔を出さない。