Jazz紳士交遊録vol20 山田玲

山田玲(あきら)の名前を初めて聞いたのは盟友米木康志からであつた。5年前であったと思う。「この前、順子(大西)の所、山田玲とやったんだけれど、あいつ、これから良くなるよ」と言うセリフであった。「良かったよ」ではなく「良くなるよ」であったが米木一流の言い回しである。米木に「良くなるよ」と言われるのは信用保証協会から手形の裏書を貰うようなもので安心である。来てもらう機会を狙っていたが3年前に実現した。その年は若井俊也に54回(だったと思う)演奏してもらった年だ。俊也に自信もって紹介できる若手に来てもらう目標で取り組んだ年であった。その中に山田玲もいた。北島佳乃子、若井俊也で初めて聴いた。ビートがしなやかでスピード感もある・・・といった印象あった。人柄については山田丈造から聞いていた。「可愛い、チンピラと言った感じです」まさにその通りであった。顔が人なつっこい。それにしてもドラムにはチンピラ系が多いのはどうしてだろうか・・・。本田珠也、竹村一哲、伊藤宏樹・・・みんな筋金入りのチンピラだ。チンピラ系にはもう免疫ができているのでワクチンは必要ない。すぐ仲良くなった・・・・と僕は思っているが玲がどう思っているかは聞いていない。玲の会話力を試してみた。玲は鳥取県出身である。「鳥取にはスタバはないけど砂場はあるんだって」「最近スタバもできました」知らなかった。「北海道は交通事故で死ぬ人よりクマに襲われて死ぬ人の方が多いんですって」「それは役立たずの旦那がクマの形相をした奥さんに毎晩いじめられるからだよ」
玲は珠也に習っていたことが有る。玲の宴会芸で「初めてレッスンを受けた時の珠也の物まね」という芸がある。実話なので面白い。
色々なバンドを一緒にやっているドラム、ベースに来てもらうと普段聞いているミュージシャンの演奏が違った局面に行くことが有る。今回は本山禎朗と鹿川暁弓にやってもらった。本山が持ってきた曲がマグロだったとする。マグロは刺身が最高と思っていたがバジルとチャービルを乗せて香草焼きにしてもうまいと気が付くことが有る。そういう聴く側の楽しみを具現化してくれるリズムセクションであった。
米木康志と原大力あるいは米木康志と本田珠也といった日本最高のリズムセクションがある。何十年かしたら俊也と玲もそうなっていると信用保証協会に成り代わって担保する。
ミュージシャンの忘れ物が後を絶たない。CDが一番多いが、譜面、リード、ストラップ、トレーナー、入れ歯。商売道具だったりするので「送ろうか」というとほぼ全員「次回行く時でいいです」と言う。しょうがないので又呼ぶことになる。東京でそう言うマニュアルが出回っているのかもしれない。玲は釣り竿を忘れていった。