前日は学生ライブの打上で朝まで飲んでいたので洗っていないグラスやら食器がすっかりそのまま山の様に残っている。ライブがない日であったのでまあボチボチやればいいかとの怠け心が頭を擡げビデオを見始めてしまった。暑い日は少しでも涼を得ようとサスペンス物を選ぶ。話しが佳境に入つた時3人のお客さんが入ってきた。「飛雄馬か」と当時ついていたあだ名で僕のことを呼ぶ。二人は高校時代ロックバンドをやっていた時のメンバーであった。一人は10年ぶり、もう一人は25年ぶりくらいである。二人は高校卒業するとそのままバンドマンになりキャバレーやサパークラブで営業の仕事をしながらバンド活動を続けていた。もう一人のお客さんはその時代のバンドマン仲間であったが別口で知っていた人であった。話は一気に55年前の話題になる。ウッドストック世代の人なら誰でも知っているCSN&Yというバンドのコピーがメインのグループに参加していた。ボーカルのハーモニーが素晴らしいバンドであった。中学生の時一緒にフオークグループをやっていたメンバーがリーダーで作ったバンドである。少なくともギターは弾けると思っていたがベースをやってほしいと言われた。ベースには興味もなかったし大体持ってもいない。楽器も何とかするからと説得されてやる羽目になった。とはいってもベース音がほとんど聞き取れない。メンバーの合唱団あがりのボーカルがベースラインが歌ってくれたラインを必死に覚えた。この日キーボードメンバーから「あのライン難しくなかったか」と聞かれた。何せ初めてなのでこんなものかと思って弾いていたが今考えると妙にギターぽい。「あれはギターのスティルスが弾いているんだ」と教えてくれた。55年ぶりに謎が溶けた。何十年ぶりに思い出す名前もいっぱい出た。その辺の話が一巡すると話題はバンドマン時代の話しに移って行った。僕とやっていたのは精々2年、その後3人は何十年も同じ釜の飯を食うことになるのだから致し方ない。話しに出てくるミュージシャンの名前は知っている人物がほとんどであったが切り口が僕が考えていることと全く違う。僕が今ジャズを主に聞いて彼らがロック、ポピュラーを聴いているというジャンルの違いでない異質なものを感じた。そういう時は口を挟まないようにしている。後でゆっくりその違和感の理由を考えることが自分の立ち位置を確かめる意味でも大事と考えている。