魚返明未(p)秋田祐二(b)本田珠也(ds) feat.林栄一(as)
魚返は翌日からの出演予定であったが、この日が最終日の珠也に呼びつけられて前ノリの格好になったということだ。珠也の気合のほどが窺われる。その気合にリーダー魚返がどう応ずるかが注目される。魚返には不思議な演奏家のイメージが付き纏っていて、どことなく異端を好んでいるようであるが、未だ解けていない謎が潜んでいるのを感じている。このメンバーだと優れた絵描き達の落書き合戦になる可能性が強い。そこで魚返は癖のある画商の目にとまるようなオリジナルを持ち込んでバンマス然とした対抗策を練ったのではないかと思う。秋田によると魚返の曲で多少の混乱もあったらしい。だが聴く側には全く分からない。なんだか誤解と理解の見境がつかなくなる。それもこれもJAZZなんだろう。小難しいことは差し控えるとして「今日は来て“本当に”良かった」ということは力を込めて伝えて置きたい。仕掛け人の珠也はやや荒っぽい喋りは別として、誰をも裏切ることのない誠意を注ぎ込んで我らを異空間にTripさせてくれたのだった。演奏曲は「Four In One」「Alcohol Jell(魚返)」「You Don’t Know What Love Is」「Bird&Dizz」「タイトル未定(魚返)」「Mary Hartman」「Tattatta」「I Mean You」。