LUNA(Vo)古舘賢治(g)町田拓哉(g)
この編成はLB3度目になる。ギター陣はこれまで同様エレアコとエレガット。振り返って選曲を思い出すと所謂ジャズのナンバーを多少控えめにしていて、昭和枯れすすき世代にとっては心のどこかに眠る曲を掘り出して披露していた。今回も基本的にその路線を踏襲していたといってよい。本ライブは題して『エモ・キュン』、つまりエモーション&胸キュンなのだそうである。LUNAにとって’70年の前後10年くらいに流行った懐かしの名曲や埋もれた曲の発掘はお手の物になっている。それは彼女が日常的に遺跡発掘の現場に関与しているのことからも納得がいく(こじつけに過ぎluna)。まぁ細くはないその腕によりをかけた、ジャジーかつポップなお手並みを十分拝聴することができたといえば、この本格青春グラフィティーの趣向をひと括りで言い当てることになるだろう。演奏曲は、「All Or Nothing At All」(Standard),「First Song」(C・Haden)、「Tow For The Road」(H・Manchini)、「End Of The World」(Skeeter・Davis)、「Good By My Love」(アン・ルイス)、「朝日のあたる家」(T・Animals他)、「Almaz」(Randy・Crawford)、「 時よ」(吉田美奈子)、「Memories Of Tomorrow」(k・Jarrette)、[Everything Must Change」(名唱多数)、このほかジェイムス・テイラーやトム・ウェイツといった大物シンガー・ソングライターものや、初めて耳にする金延幸子さんという人の「青い魚」が沁みる。そしてダメ押しで行きついた先は「Hotel California」、この過剰サービスには例のイントロ段階で場内あちこちに小さい笑いが起こっていた。
この日は大衆食堂の献立表を眺めているような感じだ。人気のメニューが居並ぶ中、いま時は売れ筋とは無縁になっいても楽曲の味は何ら劣るものではないと主張しているような一夜だったのだ。
(M・Flanagan)