憲法記念日に思う事

岸田文雄・自民党総裁は3日改憲派の集会ビデオメッセージで自民党改憲案に関し『早期実現が求められる』と発言した。これは事実上、首相による改憲宣言であり憲法尊重擁護義務を大きく逸脱する行為と考える。自民党総裁は公務員でもある。公務員は憲法を順守する義務がある。ヤクザと防犯体制を話し合っても意味がない。まずは堅気になってもらいたい。ここ10数年総理がその地位、影響力を利用して改憲発言を繰り返している。
何をどう変えたいのか・・・。
憲法が現実に即していないという。例えば自衛隊と第9条の問題だ。そしてGHQから押し売りされた代物であるという議論。
もう一度憲法とは何かを考え直してみたい。憲法はある意味で理想の社会の御伽噺かと思うことが有る。現実はその何割も満たしてはいない。その時代に生きる人間がその社会を実現すべく努力する指針であると考える。だからある意味では「虚しい言葉」で列記されている。軍事大国アメリカも憲法で「常備軍を持ってはならない」と規定されている。だが現実は知っての通りである。憲法、人権宣言の類、さだまさしの関白宣言以外は「虚しい言葉」で理想が書かれているはずである。それを現実に即さないと言って条文を変えるのは50点を満点にしよう・・・と言っているのに等しく纏足を施された女性の様に成長が止まる。
改憲派の自公維新国民は抵抗の強い9条改憲よりも「緊急事態条項」から手を付けようとするはずだ。このコロナ禍で「緊急事態宣言」がコンビニの綺麗なお姉さん程度に馴染みやすい存在になっているが全く別物である事を意識すべきである。「緊急事態条項」はナチを独裁に導いた条項に酷似している。総理に独裁権を与え国会も選挙も中止可能、内閣は法に替わる政令で国民の人権と自由を奪う。9条を変えなくとも敵基地攻撃も可能になる。
今もウクライナで悲惨な戦闘が続いている。もし日本にプーチンの様な指導者が出現したとしても今の憲法を順守すれば他国へ侵略することはないはずである。
戦後、自衛隊は他国の人を一人も殺さず、一人の戦死者も出していない。憲法9条が存在したおかげである。アフガニスタンで平和活動に従事していた中村医師がそのおかげでどれだけ活動しやすかったか発言していた。平和を願う国民の世論と運動の力が、自衛隊員の命、他国の人々の命を守ってきた。この宝物に纏足を施してはならない。