組合と百貨店

そごう西武百貨店はセブンアンドアイグループの参加に入っているが不採算部門の百貨店営業から撤退を表明し米バリューアクト・キャピタルマネイジメントに2000億で売却が決まっている。ところが旧西武池袋本店の処遇を巡って紛糾している。従業員が百貨店としての存続を求めて市民にビラで訴えストも辞さずと態度を硬化させている。僕はそごうが会社更生法の申請をしている頃本社で再建計画の作成の末端を担っていた。途中自分の能力の無さに見切りを付け札幌に逃げ帰り今に至る。多少内情が分かる身として発言するがそごうの再建案はそれなりに上手くいったとみている。全店が不採算店ではない。横浜店の様に当時世界一の売り場面積と売り上げを誇っていた店舗もあった。30店舗あった店を10店ほどに縮小し従業員は採算店で可能な限り引き受けた。銀行には借入金の棒引きをお願いしに行く。当たり前だが「100億ですね。返さなくてよいですよ」とはならない。鬼の責め苦を味わう事になる。その頃百貨店と言う業態に陰りは見えていたものの西武はまだ安泰であったはずである。借入金もそごう程多くはない。それだけに対応が遅れたとみる。最高の立地ブラックモアである西武池袋本店で百貨店の形態で商売が成り立たないことに驚きを覚える。もしストが敢行されるとしたら1951年の三越以来の事となる。どうしても流通業はお客様の手前ストは印象が悪くなる。そごうも一回目につぶれそうになった時興銀から送り込まれてきた社長が手を付けたところもそこであった。全国組織から脱退させしっかりと調教された柴犬の様な企業内組合に置き換えた。僕は新入社員の時組合総会に出席した際「何か質問ありますか」との議長の声に挙手して組合の在り方について質問した。その時会場がざわついたのをかすかに覚えている。職場に戻ると上司に呼ばれた。組合総会とはそういう場ではないと教えられた。組合総会とはヤマハのジャズの発表会の様に書き譜を再現する場である事を知った。毎回総会は組合綱領を全員で朗詠する儀式から始まる。一節に「我が組合は共産主義組合とは一線を隔す・・・」という統一教会の教えの様な下りが有った。僕は共産党支持者ではないがその部分は毎回口パクで逃げていた。