馬鹿女

久々に馬鹿女が来た。学生のライブの日で1stの最後から2曲目の途中であった。メニューを見せると一顧だにせずスコッチのシングルモルトは何があると聞いてきた。消費する酒のグレイドと自分の人間的価値をリンクさせて考えるタイプのオーダーの仕方であった。嫌な予感は的中し演奏はまったく無視し連れの男性に声高に話し始めた。学生も僕がどういう風に対処するのかといった視線を投げかけてくる。曲が終わった時点で感情を内に秘めたブルーイングリーンを吹くマイルスの様に静かにお願いした。「学生が一生懸命演奏しています。話す際は小声でお願いできますか」と・・・その時は一応すいませんとは言ってくれた。だが次の曲が始まると選挙妨害をする「つばさの党」のようにまた演奏妨害をする。この曲が終わったら帰ってもらおうと思っていたが連れの男が飲んだら帰ろうと言ってくれたようである。帰りしな捨て台詞を連発していたとバイトの学生から聞いた。確信犯である。危ない客は臭いで分かる。演奏前であれば演奏中は会話禁止であることを告げる。大体その時点で入店しない。学生からはあんなお客は初めて見た、と言われた。だがこのジャンルとしての馬鹿女は以外にいるのである。今まで5人は思い出せる。今はお洒落感は封印した店にしているが蝶ネクタイしたバーテンを雇っているときはそのたぐいの客がよく来ていた。カウンターにいた学生にああゆう大人にはならないでね・・・というと「大丈夫です」と心強い返事が返ってきた。腐りかけている日本であるが微かな明かりも見える。