2017.6.9  毎度の“私記・即・絶句” 

清水くるみ(p)米木康志(b)本田珠也(ds)
 ZEKのライブは4度目くらいになるだろうか?過去のレポート(私記)はHPブレーク・ダウン事件により今は確かめようがない。しかし、ZEKを“絶句”と置き換えるのは世間で多用されていて照れくさいが、毎度の演奏クオリティーに免じて見逃してもらおう。ZEKは、もちろん再現バンドである筈はなく、完全に自立した演奏集団として活動しているが、このあたりの経緯に興味があれば、結成10年を機にリリースされたCD『ZEK !』のメンバーによる解説を一読することをお勧めする。『何故、ツェッペリンなのか?』という国民的疑問にも解が示されている。
 今回の2Days、残念ながらショパンの事情で初日しか聴くことができなかった。しかし、この一夜に限っても特徴的だったのは、三人の中で唯一人、生ツェッペリンを観ているにも拘らず、その時の演奏を記憶に留めていない米木さんが以前と比較して大きくフィーチャーされていたことだ。3年くらい前からエレベがしっくり来るようになったという米木さんのベースは、言うなれば“構えの大きさ”が際立っており、並外れたグルーブを仕組んでいたと言ってよい。くるみさんからは横揺れ動作と共に奔放さが引き出され、珠也が高笑いの肉声を発っする。こういう時の心理状態がどのようなものか個別に確認してみたくなるわい(笑)。ZEKの聴きどころは、演奏曲によって異なるが大まかに言って最初は探り合いが続くので調和より緊張感の方が優先され、そして何時しか三者の待ち合わせ場所が定まる、後は各自が一体的にメートルを上げながら絶頂過程に突入して行くところである。これを受け入れた瞬間こそ、我ら会場がZEKを共有した瞬間である。聴き応えのあるJAZZとはそういうものだ。演奏曲は、「フレンズ」、「ユー・シュック・ミー」、「フール・イン・ザ・レイン」、「ホワット・イズ・アンド・ホット・シュッド・ネバー・ビー」、「オーバー・ザヒル・アンド・ファー・アウエイ」、「カシミール」、「イミグラント・ソング」、「ロックン・ロール」。特に最後の3曲の一気の流れには、熱狂的に震えた。
 かねがね、本レポートの読者はせいぜい10人くらいと想定しているので、行儀悪いが周辺余話を記しておきたい。それは、2年ぶりにバンクーバーから来札したにも関わらず旅程の都合でZEKを聴き逃したMARKの不運、そしてLBに縁のあるG郎、S名、H瀬ら永遠に微妙な「フレンズ」と再会できた幸運である。
(M・Flanagan)