12世紀ルネサンス ―文明の十字路の真実―vol1

12世紀ルネサンス
―文明の十字路の真実―

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、日本のみならず世界各地で用いられたアルコール除菌と次亜塩素酸ナトリウム。後者はアルカリ性であるが、どちらも除菌効果を持つものとして一世を風靡した。そして今、夏の夜空を見上げれば夏の大三角が空を飾る。その3星のひとつにはアルタイルという星があるだろう。余談ではあるが、筆者の星座は牡牛座、そのα星はアルデバランである。
アルコール、アルカリ、アルタイル、アルデバラン、数学科の者であれば代数学を表すアルジェブラをも想起することもあるかもしれない。
数理科学の用語にこれほど「アル」から始まる単語が多いのはほかでもない、これらが全てアラビア語からの借用語だからである。ではなぜ、アラビア語の単語が西洋語の中に違和感なく混じっているのだろうか。これを知るには、およそ1300年以上に渡る人類の神秘と、その結晶である「12世紀ルネサンス」を語らねばならない。そしてその結末に、我々はイスラーム世界が周縁ではなく、まさしく世界の中心であったことに気付かされるのである。
by梅津尚生
Master’s comment notice
バイトの梅津にイスラムの世界観についてシリーズで教えてもらっている。「12世紀ルネサンス」は大作なので連載で紹介する。先進国の中ではフランスが日本と価値観が一番違うと言われる。イスラムはその1周遅れくらい違う気がする。例えばグラスが割れたとする。イスラムでは「割れる運命であった」と結論付けられる。この論理を梅津がバイト中に使うのではないかと危惧している。