As time goes by日記 6月15日

この日の午前4;30頃目が覚めた。僕の歳になると尿意で夜中目が覚めるのも珍しくないがこの日はちょっと意味合いが違っていた。枕もとの携帯が作動した音で目が覚めたのだ。一日何件も来る迷惑メールであった。16年前の6月15日4:30頃友恵は26才で亡くなった。それを知るのは二日後。彼女の父親からの電話であった。死亡時間は4:30頃であると言う事であった。僕の携帯にはその時間に友恵からの着信履歴が有ったのだ。出てやることができなかった。友恵はlazy開店の日に来た来た客であったがいつしかバーテンダーになっていた。心に傷のある子であることは知っていたがその大きさは亡くなってから知ることになる。ある事件がきっかけで外出ができなくなり1年ほど店を休んでいた。調子が良い時には「絶対店に戻るから待ってて」とメールが来た。月1回の心療内科への通院には付き添って行ったが人が怖いのか地下鉄の中では僕の腕にしがみつき目をつむっていることもあったし大勢の前で暴れることもあった。だが落ち着くと「ごめんね」と頭をぺこっと下げるのである。僕はお客さん時代につけられた通称「パパ」と呼ばれ続けそれは雇用関係が発生しても変わらなかった。それで時々親子と間違えられることが有った。僕は少なくとも信用はされていると感じた。自分の中に他人の信用に足る部分が多少なりとも有ると言う事を教えてくれた友恵に今でも感謝し思い出し続けている。