トランプのノアの箱舟

トランプが就任してから約50日。矢継ぎ早に出された100近くの大統領令にマスコミは付いて行けない。我々も一部しか理解していない。政策も一見思い付きにしか見えないが本当にそうなのだろうか。そういう時はずっとカメラを引いて歴史全体を俯瞰すると有効である。ジャズでリズムを大きくとらえるのと同じである。スペイン、ポルトガルガ植民地主義で隆盛を極めその後釜にイギリスが座った。イギリスは産業革命を経験し工業を制する者が世界を制する時代になった。アメリカもその一員になった。ある時期の日本もそうである。だが工業製品のアドバンテージはいずれ後発国に追い付かれることになる。工業製品で没落していく国は金融資産運用で生き延びようとする。乗り遅れた日本と一見上手くいった様に見えたアメリカがいる。一度覇者になった国は没落し二度とその座に戻ってきた国はローマ帝国、エジプト王国まで遡ってもない。グローバル経済は関税をどんどん低くする傾向にあるがトランプは色々な物品の関税を上げている。明らかに自国の産業の保護政策になっており歴史を逆行している。逆行仮面の叔父さんは正義の味方ではないことが明白になったが取りあえずスティクホルダーを握っている様には見える。見えることが大事である。イギリスのBBCは興味深い見解を出している。トランプは100年後のアメリカを思い描いているのではないか・・・・・と。トランプは環境問題には全く興味を示さない。イーロンマスクがスタッフにいるのにも拘らずガソリン車を推奨しテスラの株価を暴落させた。イーロンマスクの損害は15兆とも言われているがトランプと決裂したとは聞かない。何か裏が有る。イーロンマスクは宇宙産業にも手を染めている。地球を見捨てているのかもしれない。USAIDなど発展途上国の援助やフルブライト奨学金等も縮小する。ウクライナの停戦交渉においてもいわば敗戦処理交渉の場においてもディールを持ち出した。ヨーロッパ諸国は最早アメリカに頼っている場合ではないとフランスは自国の核の傘を強調し非難されるかと思いきやドイツまで賛同した。ヨーロッパ各国の軍需産業の株価が高騰している。ウクライナで停戦が実現しても対ロシアに対する脅威が持続すると踏んでいるからだ。そんな折武藤容治通産大臣が自動車の関税を負けてとお願いしに行って相手にもされなかった。外交センスゼロである。日本はトランプのノアの箱舟には乗れるはずはない。乗れるのはアメリカ人だけである。それも選ばれし者だけである。クリストファー・ノーランの「インターステラ」を見た後はトランプのノアの箱舟が目指す先は何処かの惑星か・・とさえ思えてくる。