昨日ジャーナリストの青木理の出ているラジオ番組を聞いていた。青木は共同通信社出身のフリージャーナリストで公安担当だったこともあって最近の統一教会問題のコメンテーターとして出演していた。僕はブックレビューで著作「安倍三代」を紹介したことが有る。信頼できるジャーナリストだと思う。番組の中で自分の経歴を紹介する段で週刊新潮の「黒い報告書」を担当している時期が有ったと言っていた。
30年ほど前である。その時はもうGROOVYは引き継いでいたがまだ会社員であった。昼休み喫茶店で週刊誌をパラパラめくっていた。「黒い報告書」というコーナーがあった。札幌で起きたある殺人事件の事が書かれていた。そこにGROOVYの名前があった。容疑者Kは北24条のラウンジに何年か勤めていてその後ススキノの大手のキャバレーに移った。Kは24条に勤めていた頃は毎日のようにGROOVYに寄って行った。僕は事実として知っている。そこに書かれている内容も寸分も違わぬ内容であった。時期はちょうど僕が店を引き継ぐ頃であった。店の垢を落として帰るような飲み方で決して泥酔するような飲み方ではなかった。ススキノに移ると営業の締め付けがあるのであろう、時々来てほしいという営業電話が有った。先代共々ずいぶん来てもらったので恩を返そうと時々顔を出した。そういう日はアフターも付き合うというのがその業界の仁義である。一軒目は僕の良く行っていた店R、余裕あれば彼女の良く行く店に連れて行かれた。5,6人座れば満席になるカウンターだけの小さな店で朝までやっている。そこのマスターとKは付き合っているらしいというのは何となくわかった。事件と言うのは酔ったKがマスターを絞殺してしまったのである。何が有ったのか・・・・細かい内容は忘れてしまった。忘れたかった。
その当日僕はKとその店に行っていたのである。かなり酔っているようだったので帰りの方向も同じなので送って行こうかと言った。Kはまだ飲んでいくと言った。事件はその後に起きた。作品はフィクションとなっているが記事は妙にリアリティーがあった。青木はその下調べ取材をして作者に渡していたのだと思う。実際にその場所に行かなければ分からないこと、Kに聴かなければ分からないことが盛り込まれていた。ただ一つ僕の存在はすっぽり抜け落ちていた。事件翌日1軒目に行ったRには事情聴取に警察が来たと聞いた。KもRのマスターも僕の事はふせてくれたのだと思う。