テレビを持っていないと言う事もあるがNHKのニュースが信用できないので信頼に足るネットニュースを何本か視聴している。Arc Timesもその1本である。元朝日新聞の尾形聡彦と東京新聞の望月依塑子が司会を務めている。望月さんは記者会見でも執拗に迫り政府の人間に嫌われて質問の指名を受けられなくなったジャーナリストである。映画「新聞記者」の主人公は望月さんが題材になっている。
Arc Times最新のテーマは「移民社会の日本に逆行する岸田政権」でゲストは安田菜津紀であった。日本の難民認定率は0.7%、スリランカ人のウィシュマさんが非人道的な扱いを受けて名古屋入国管理局施設で亡くなったことは記憶に新しい。入管法そのものを論ずることはここではしないが安田菜津紀さんは虐げられている人の立場で取材を続けるフォトジャーナリストである。番組の中で自分の出自について話す場面が有った。子供の頃食堂を営む父親が家に帰ってきた時絵本を読んでとせがんだ。父親は読んでくれたがいつも読んでくれる母親程流暢な日本語ではなかった。安田さんは父親に「下手な日本語だね、日本人じゃないみたい」と言ってしまった。その時の父親の悲しそうな目の表情は今でも覚えているという。ある時パスポートを取りに行った時初めて自分が韓国籍だと知った。感情を高ぶらせるわけでもなく淡々と話す安田さんに強い意志を感じた。
その話を聞いた司会の二人は涙ぐんでしまう。僕ももらい泣きをしてしまった。
国籍、ジェンダー・・・安田さんの取材対象は自分をも傷つき兼ねない領域での仕事である。
政府広報と化した凡百のジャーナリストとはわけが違う。