高校野球の話ではなく将棋の話だ。池田聡太七段が新人王戦に優勝した。まあ、強いので優勝したってそんなには驚くことではない。ところがNHKニュース速報のテロップで流れた。奪取した年齢が30年ぶりくらいで破られた言う事である。その記録を保持していた人物は羽生世代の森内九段で16歳数か月の記録を池田聡太は数ヶ月破ったという事である。おいおい・・・こういうことを書くのなら30年ぶりくらい…とか数ヶ月とかいう表現辞めて具体的な数字で書けと言われるかもしれない。今手元に資料がないので書けないがこの時代そんなことはお安い御用だ。あえて書かない。ただ30連勝とか16歳とかの数字だけが独り歩きしていくのが納得できない。凄さが数字と言う計量可能な物に転換されて紹介されるのが残念だ。かつてイチローが200本安打を続けている時代その200と言う数字にこだわりはあるかと問われて「1本、1本のヒットが生まれる状況の方が大事だ」と語った。素人にはそういう状況を理解しながらスポーツ観戦をするのは難しい。まして将棋だ。知名度は野球に比べるとAKBとセシル・テイラーほどの差がある。いや…そんなにはないかもしれない・・・・・。将棋には勝ち負けがある。それはもちろん大事なことだ。jazzミュージシャンの洒落で「勝負は勝ち負けではない」と言うのがあるがこれに騙されてはいけない。将棋は中身も重要だ。池田聡太の将棋にはプロも気が付かないような指し手が散りばめられている。対局中の態度も素晴らしい。席を外す時も失礼しますと一言添える。慌てることがない。いつも平常心で指しているように見える。新人王程度で収まる器ではない。一時期の羽生善治のようにタイトルを独占するときが来るはずである。人気が出たので池田聡太の動画が見れるのは嬉しい。長いものは2時間以上かかるものもある。これを早送りしては駄目なのである。同じ時間を共有するのである。すると対局者の息遣いが聞こえてきて見終わると香車一枚分強くなっているのである。
話は音楽に飛ぶ。札幌には中高生でjazzが上手い子がたくさんいる。池田聡太のように若いからと言うだけの理由で取り上げられるのはいかがなものかと思うのである。音楽には勝ち負けがない。若い時にしかできないこともあるが年輪を重ねないとできないこともある。
米木は60歳過ぎてからが一番忙しいという。プロになって45年たっている。