2015.11.13 Eri the greatest
大野エリ(vo)若井優也(p)
Live at Lazybirdでのエリさんは、毎回キャリアの集大成のような実力を見せつけてきたが、今回は極め付けというか、期待以上の期待を更に飛び越した感じだ。彼女のトータルな力量が余すことなく伝わってくる。壮麗なヴォイスが会場を呑みこんでいく。その流れに浸るだけで、他はいらない。ジュリーではないが、時の過行くままにこの身を任せてしまった。“前回も良かったけど今回はもっと良かった”というライブ後の感想は、満足の度合いを端的に示すバロメータである。それは前回の評価を低めるものではなく、今回ますます手応えを感じたということであり、ライブはいつもそうあって欲しい。その日その日ライブに足を運ぶお客さんは、何らかの狙い目を付けてやって来るので、それぞれに満足を持ち帰りたいのだ。
エリさんは中盤ぐらいまで会場が盛り上がっていないように思っていたらしいが、威圧感すら漂うような歌唱に一同聴き惚れていたというのが真実だ。そして呪縛が解けていく後半は大盛り上がりになって行ったのだった。この日は若井とのデュオだが、ニュー・リリースの“How my heart sings”には、ベースのバスター・ウィリアムスとドラムスのアル・フォスターというレジェンドが加わっている。その中から「アイム・オールド・ファッションド」、「コンファメーション」それにアルバム・タイトルから「ハウ・マイ・ハート・シングス」がピック・アップされていた。このほか「ジャスト・イン・タイム」、「ブルー・イン・グリーン」、「ワン・ノート・サンバ」、「イン・タイム・オブ・ザ・シルバー・レイン」などエリすぐりの全15曲。ときめきを運ぶその声は今も耳に残る。随分前になるが、モハメド・アリの伝記的映画に付けられた題名は、“アリ・ザ・グレーテスト”だったが、来場者ひとり一人の“How my heart sings”に対応するのは“Eri the greatest ”だ。
(M・Flanagan)