20193.22~23 Rock-Queen LUNA’s Rhapsody

LUNA(vo)碓井佑治(g)秋田祐二(b)大山淳(ds)
  Rockの狂宴は4回目に突入した。今回は近く東京に活動拠点を移す碓井の送別を兼ねており、碓井上京のcome・rainと14周年のcome・shineとが交錯していたのである。回を重ねて来ているが初回以降、LIVEの鮮度は失われていない。我々にとって継続と惰性との境界はどことなく曖昧である。継続するこのRockの狂宴においては不可欠の黄金のメニューがある一方で、いつも創作料理が振る舞われ、それが惰性の抑止力となっている。今回の創作は何だ?気にはなるが、いろいろ詮索している場合ではない。今を楽しむだけだ。早速、碓井がザ・バンドの「オールド・デキシー・ダウン」、「ザ・ウェイト」を持ち込んだ。ザ・バンドの曲は泥臭いが、信仰心の薄い者にでさえ時々賛美歌のように聞こえてしまう。今回はこれに留まってはいない。昨年来ロング・ラン中の映画「ボヘミアン・ラプソディー」から同名主題曲が選曲されたのには100パー驚かされた。しかも本邦初公開のピアノを演奏して歌い上げたのは、LUNAの作戦勝ち以外の何ものでもない。ピアノに向かうLUNAの後ろ姿は、ダイアナ・クラールのそれに何ら引けを取らない、と持ち上げておこう。更に畳みかけるように「ウイ・ウィル・ロック・ユー」、「アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラブ・ユー」、「ウイ・アー・ザ・チャンピオン」、「レディオ・ガガ」を連唱し、ついにこの瞬間Rock-Queen LUNAが誕生したのだった。筆者は、クイーンを聴きたいというより果敢に挑戦したLUNAの姿勢に心から敬意を表したいのだ。なお、不可欠の黄金のメニューは、「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」、「オールド・ラブ」、「ホンキー・トンク・ウイメン」、「ムーブ・オーバー」、「ホール・ロッタ・ラブ」、「パープル・レイン」、「プラウド・メアリー」、「フォエバー・ヤング」、「ファイアー」、フード・ファイターズ・プレゼンツ「フリー・ウェイ・ジャム」等々。最近は年とともにバッタリ会ってその人物の名前を想い出せないこと甚だしい。それに似て2、3は、曲名に逃げられてしまった。そんな些細なことはさておき、率直な感想を言う。『あぁ、スカッとした~!』に尽きる。
 余り知られていないかもしれないが、トランペッタ-のレスター・ボウイに“ファースト・ラスト”という作品がある。いま碓井は道民ラストから都民ファーストへの渦中にいる。この最後感のためか彼の泣きのフレーズには嘘っぽさがなく大いに好感を持てるものであった。碓井の旅立ちに乾杯し、LUNA魔術に完敗を認めたところで締めたいところだが、言い忘れてはいけない。秋田と大山による送別の渾身サポートは、Rockの反骨精神を放浪した経験のないミュージシャンには決して有り得ぬ一体感を作りあげていた。LIVEのサイズを一回り大きくした後ろの立役者を記憶に留めておこう。最後に客人を代表して碓井に心温まるメッセージを贈る。<人生の岐路に立つ男が早速帰路についたら、笑えねぇぞ>
(M・Flanagan)