ライブのない通常営業の日・・・半ば消化試合の感覚で店で本を読みながら時間を潰していた。突然NHK英語ニュースの臨時ニュースが配信された。韓国で戒厳令・・・・何事が起こったのかと訝った。
信頼できる独立系メディアをチェックするとソウル国会前に市民が集まってくる様子が中継されていた。怒号飛び交う中軍隊を乗せた車両が到着する。市民の人垣で隊員は車から降りることもできない。中には顔を覆った特殊部隊が乗っていたと後で知る。戒厳令が宣布されたのは北朝鮮が攻めてきたというような重大な理由からではないと次第に明らかになっていく。国会前のゲートは閉じられているがよじ登るものもいる。国会内では戒厳令を解く為の審議が行われている。市民はそれをネットで見ながら抗議活動をしている。年齢層も幅広い。老若男女、犬猫バンドマンである。結局戒厳令は朝方解除され最悪の事態は防がれた。早寝した国民は何が起きたのか全く知らないで目覚めることとなった。戒厳令が宣布された正当性は爪の垢ほども感じられない。尹錫悦大統領の乱心と言う他はない。44年前の光州事件の様な軍隊が市民に発砲するという最悪な自体は防がれた。韓国政治情勢は与野党逆転で尹錫悦のやることなす事全て上手くいかない。それに加え奥さんのスキャンダルが後を絶たず本人は相当疲弊していた。尹錫悦は検事総長を務めた人物でありプライドは一流である。韓国では検事の権力は日本以上に絶大でありそれは退任した大統領が検事局から過去の汚点を訴追される事実からもうかがい知れる。この司法体制は日本を範として制度設計されている。更に付け加えるのなら光州事件を引き起こした全斗煥の民衆弾圧は日本が朝鮮大陸で行った行為と地続きでもある。この事件独裁者風支配者が居ても議会と市民とマスコミ、軍部に良識が有れば民主主義が守られると言う事が証明されたとも言える。日本でも非常事態宣言を憲法に明記すべきと言う議論があったが我々は民主主義を守れるだけ聡明であるのか・・・・
付記
ブログのタイトルを付けた時、五木寛之の作品に同名の小説が有ったことを想い出した。と言うよりその小説を読んでいたからタイトルがすんなり出たと言ってよい。「戒厳令の夜」チリのアジエンダ政権下CIAの画策によるクーデターから物語が始まる。面白かったです。お勧め!