藤原肇の著書に「国賊を国葬にした国」というものがある。内容にびびり大手出版社が二の足を踏みアマゾンの電子書籍でしか読むことができない。ここ最近ネット上ではこの「国賊」という表現時々目にするが思い出すのは2・26事件の折、連隊復帰を呼びかける放送で「貴様たちの親は国賊と呼ばれて泣いておるぞ・・」という表現である。
自民党の村上誠一郎氏が安倍元総理を国賊と呼んだ呼ばないで処分が検討された。国賊発言が党則の「品位を汚す行為」に該当すると言う事らしい。この程度で処分されるのであれば安倍総理はじめ、党上層部の細田衆議院議長、萩生田、山際、下村博文、山谷えり子はどれだけ品位を汚したかをまず問われなくてはならない。まさに「ゲヒン・ザ・ゲヒン」ゲスの極み乙女レベルである。
村上氏が発言したとされる場は公式の場ではない。非公開の自民党総務会での事である。総務会は自民党最高の決定機関でここでの決定が政策となっていく。自由闊達な意見交換の場として機能していた時期もあり数時間に及ぶこともあったという。会議終了後ぶら下がりの共同通信の記者にリップサービスでの内容説明の際に「国賊」という表現が使われたらしい。それが大きく報道され処分問題に発展したという経緯だ。
ここからは推論である。国賊という表現はかなり強い表現である。しかし村上氏のキャラなら言ったとしても可笑しくはない。国葬にも反対表明をし自身も欠席をした。陳謝の記者会見の場での発言である。「国賊と言う表現を使ったかどうかは覚えていないがもし使ったとしたら陳謝する」といった。謝る必要などないというリベラルな立場の意見はさておいておく。ここでの村上氏の発言は安倍総理のモリカケ桜、自民党全体の統一教会問題での発言のパロディになっている。取りあえず記憶にないとしておく。バレたらそこだけ訂正する。今の自民党の手法である。それを強力に皮肉った陳謝であると考える。自民党にもまともな意見を言う人がいると党を救った側面がある。村上氏は愛媛出身で瀬戸内海の村上水軍の末裔である。選挙では圧倒的な強みを見せ12期連続勝っている。統一教会の援護射撃を必要としない立場なので歯に衣着せぬ発言ができる。尊敬する政治家は大正デモクラシーを牽引したリベラルな石橋湛山。その政敵は安倍晋三の祖父岸信介というのも因縁だ。
村上氏の処分は1年間の党役職からの離脱で比較的軽いものではあったが党内のモノ言えぬ雰囲気は増長されている。党紀に準じて処分された例は稀である。党内であっても言論を封じる前例を作ってはいけない。