大統領選の憂鬱

暗澹たる気持ちでアメリカ大統領選挙速報を聞いていた。最後の3日間ハリスが追い上げほぼ互角と言う情報を聞いていた。それを知ってかトランプはイラついているのが映像でも分かった。ホワイトハウス前にはバリケードが張り巡らされ近くの商業施設の窓、ドアには板塀が打ち付けられている。トランプが勝っても負けても暴動が起きるかもしれないという予測からである。最早民主国家の程をなしていない。選挙結果はスイングステイトの7州の結果、とりわけペンシルベニア州で勝つことがハリスには必須となった。日本の選挙の様に8時ゼロうちということはないが3時間くらいたつとニューヨークタイムズがトランプ有利の速報を流した。その時点でハリスの勝ちは無くなった。トランプの演説を何回か聞いたが胸糞が悪くなる内容である。人種差別、女性差別、マッチョイズムのオンパレード。「西瓜頭」発言など飲み屋での酔った勢いで・・・のような発言を何万にもの有権者の前で堂々と披瀝しそれを聴衆が笑いとばす。良い子は真似しないようにとさえ言えなくなる。犬猫を食べていると揶揄されたハイチ移民他ラテン系民族でさえ経済を悪くした民主党の女性候補には投票しないという。女性の人権問題は数十年後退したと言える。トランプは報復人事を行うと選挙中から公言している。デモの軍の派兵に反対した軍幹部、国防省幹部は首をすげ返られる。いくつかの裁判を抱えているトランプにとって裁判所は守護神である。最高裁判事の首のすげ替えは自己保身の為すぐ取り組むであろう。安倍晋三の検事総長の定年延長を画策した事と相似形である。4年の任期を延長するかもしれない。そうなれば最早独裁体制である。ウクライナへの支援は止まり、ウクライナはアメリカの援助なしでロシアと戦うことになる。イスラエルとの関係はより強固なものとなり中東情勢はより不安定なものとなる。日本はどういうスタンスでアメリカと接していくのか・・・。政治経済、外交の大きな枠組みでの議論は聞いたことがない。麻生副総理が選挙中トランプに会いに行っている。日米地位協定の改定と言っていた石破総理が政局を考えこの老害に花を持たせ日本を叩き売る約束をするのではと心配している。
ハリスが勝てなかった詳細な分析はこれからなされるであろう。「理論は享楽にかなわない」と言った社会学者宮台真司の言葉を思い出す。