店を閉めて帰る午前一時頃、石狩街道をバリバリ、バリバリと世の中で一二を争う醜悪な音を響かせて数台のバイクが北上してくる。今年はじめてみる暴走族だ。パトカーもサイレン鳴らして追尾してくる。もう少しで北24条通りにさしかかる。僕の目の前には組み抗争を警戒する覆面パトーカーが24時間待機している。サイレン鳴らして車を一寸だけ動かせば簡単に逮捕できるのに微動だにしない。
「あなたたちは交通課でしょう。うちらは丸暴だから課が違うのね。だいたい鰯の稚魚みたいなチンピラ捕まえたってポイント低いでしょう。うちらは300キロの黒マグロを狙っているからそちらはそちらで・・・・・どうしてもというならうちの課長に話しとおしてね。あらあ・・・逃げられちゃった」と言うことだと思う。会社員だった頃を思い出す。
上司によく言われた。僕は経理課であったが「人事課に借りを作るなよ」大体同じ事だと思う。
その日はdsとbのduo、なおかつ半分はインプロ。普通のリスナーには厳しい条件かもしれない。何時もいらっしゃる常連の方も病欠でライブが始まった時はお客さんはいなかった。途中から外国の方が来た。ライブであること、料金の事を説明すると、ネットで調べて聴きにきたという。熱心に聴いてくれた。S太さんのドラムを聴いたことがないタイプだと面白がってくれた。もともとロシア生まれで留学でイギリスに行き今はロンドン近郊のバーミンガムに住んでいるということだった。僕はS太さんが入っている山下洋輔Gのヨーロッパライブのレコードを出してS太さんの経歴を説明した。当時洋輔さんがヨーロッパのお客さんの印象を言っていた。「ジャンルの壁を取り払って楽しんでくれる」と。
きてくれたピョートルさんもそういう人なのかも知れない。「今日が最後ではないよ・・・・・まだ来るよ」といってくれた。
感性の縦割り行政はない方が色々楽しめる。